剛男「やっぱり 子どもたちが帰ってくると にぎやかで いいな。」
富士子「うん。」
<明美ちゃんが 札幌から帰ってきました。>
明美「えっ なつ姉ちゃん 月曜日に もう帰っちゃうの?」
なつ「うん… もう少し いようかと 思ってたんだけど 仕事が気になりだして。」
明美「何さ もっと いればいいのに。」
富士子「あんたこそ 明日 もう帰っちゃうんでしょ? 札幌に。」
明美「私は 月曜日から仕事。 なつ姉ちゃんは やっと 夏休みが取れたんでしょ。 優ちゃんだって もっと こっちにいたいよね?」
優「ママは忙しい人だから 優ちゃんは わがままを言わず ママを助けてあげなくては いけません。」
富士子「えっ…。」
剛男「おお…。」
明美「なつ姉ちゃん そんなこと言わせてんの?」
なつ「ううん 勝手に。」
富士子「きっと 光子さんの教育だわ。」
剛男「優ちゃんの周りには 強い女性ばかりいて 頼もしいな。」
照男「柴田家の女も強いからな。」
砂良「男が弱いだけでしょや。」
剛男「まあ 男は弱いふりして 本当は強いのが 真の男だ。」
富士子「えっ ず~っと弱いふりしてたの?」
剛男「そうだよ。 何で気付かないのさ。」
なつ「したけど 明美ちゃんが こんなに強くなるとは思わんかったね。」
明美「うん?」
なつ「女子大出て 本当に信さんの後 追って 放送局に入るんだもん。 女で 仕事をしていくのは大変でしょ?」
明美「大変なんてもんでないよ。 どこの部署も 男だけの猿山みたいなんだから。」
富士子「いい人いないのかね? その中に。」
明美「なして そういう発想になるかね 母さんは。 女は 結婚のために生きてるわけじゃ ないべさ これからの時代は。」
照男「お前 だんだん 夕見子に似てきたな。」
明美「夕見姉ちゃんは 結局 中途半端だったわ。」
なつ「そんなことないよ 明美ちゃん。 夕見だって ちゃんと 自分の人生を生きて 結婚だってしたんでしょや。」
明美「そうかもしれないけど… 仕事してると 男が どんどん小さく見えてきて。」
剛男「まあ 男は小さいふりして…。」
照男「おやじが言うと 説得力ないもな。」
泰樹「なつは ずっと 仕事を続けていくんか?」
なつ「うん…。 本当はね じいちゃん もう辞めてもいいかと 思ってたんだわ。 でも… 天陽君と話して また やりたくなったの。 やるって決めた。」
泰樹「そうか。」
明美「いつ話したの? 天陽君と どこで?」
なつ「いつでも。 どこでもさ。」
明美「ん? どういうこと?」
富士子「分かんないの? あんた それでも テレビ局務まるの?」
明美「なしてさ… テレビは 曖昧な表現が許されないの。」
砂良「なっちゃんは 仕事を続けるべきだと思うわ。」
なつ「砂良さんも そう思う?」
砂良「だって… なっちゃんの作品を きっと 千遥ちゃんも どこかで見てると思うから。 きっと 千遥ちゃんは それを見て なっちゃんが 元気でいることを知って 安心してるんでないかな。」