連続テレビ小説「なつぞら」第150話「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」【第25週】

リビング

剛男「寝たわ。」

なつ「あ… ありがとう。 助かったわ。」

剛男「なつは 寝なくて大丈夫なのか?」

なつ「寝てる場合じゃないから。」

剛男「大変なんだな。」

なつ「まあ 特に この作品はね…。」

剛男「イッキュウさんは ずっと 会社に寝泊まりしてるのかい。」

なつ「うん… 放送がある日は帰ってくるけど 優とは会社で会ってるし。」

剛男「仕事がない時間がないんだな。」

なつ「気付けばね…。 いつも 優を急がせてる。」

剛男「そうか。 ありがとう。」

なつ「優のためには… まあ こんな生活を 変えなくちゃいけないんだけど 今は どうしようもなくて…。」

剛男「優には その気持ち… なつの愛情は ちゃんと伝わってるさ。」

なつ「うん そうかな…。」

剛男「優を信じろ。 子どもに期待し過ぎるのもいけないし 期待しないのもいけない。 ただ 勝手に信じてやるぐらいが ちょうどいいんでないのかい。」

なつ「父さんは いつだって 子どもを信じてくれてたもね。」

剛男「頼りない父親だけどな。」

なつ「ううん そんなことないよ。 父さんは 強くて優しい人だわ。 じいちゃんと同じように 開拓者の魂が宿ってるからね。」

剛男「いやいや…。」

なつ「まあ そのことは 照男兄ちゃんや夕見 明美ちゃんや私に ちゃんと伝わってるから。」

剛男「ありがとう…。 なつの生き方も ちゃんと伝わってるさ。」

なつ「そうだといいけど…。」

柴田家

台所

剛男「ただいま。」

富士子「お帰り。」

砂良「お帰りなさい。」

居間

砂良「千遥ちゃん 本当によかったですね。」

剛男「心配なのは なつだ。」

富士子「なつが どうかしたの?」

剛男「いや あんなに大変な仕事だとは 思わんかったわ。 ほとんど寝てないんだわ。」

富士子「寝てない?」

剛男「イッキュウさんは ほとんど 会社に泊まりっ放しで なつは 優のために家事をしながら うちで仕事をしてるんだ。 それが 6月まで続くそうだ。」

富士子「えっ…。」

砂良「優ちゃんは 拓男と同じだから 春から小学校でしょ。」

剛男「そこなんだわ 問題は! 小学校に上がれば 保育園のように 長くは預けられなくなるべ。 優ちゃんは 学校から うちに帰るしかない。 したら 誰かが うちにいてやるしかないべさ。」

富士子「どうするの?」

剛男「家政婦を 今 探してるらしい。」

富士子「家政婦?」

砂良「お金持ちみたい。」

拓男「カセイフって?」

地平「知らない人が 家で働いてくれるんだべ。」

泰樹「富士子。」

富士子「ん?」

泰樹「お前 行ってやれ。 なつを助けてやれ。」

富士子「私が 東京に行くのかい!?」

剛男「それは 僕も ちょっと思った。」

富士子「そりゃ 助けてやりたいけど… 拓男も入学だしね。」

照男「拓男のことなら心配ないべ。 な?」

砂良「はい。 大丈夫です。」

富士子「したけど 私には アイスクリーム屋のこともあるし…。」

砂良「それなら 私がやっておきます。」

照男「アイスクリームを売るとしたって 夏だべ。 それまでに なつの仕事も終わるんだべさ。」

剛男「終わる。」

泰樹「助けてやれ。」

富士子「分かりました。 私が行きます。」

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