連続テレビ小説「なつぞら」第27話「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」【第5週】

光子「皆さん こちら すぐそこの本屋さん 角筈屋書店の茂木社長。 新宿のことなら 何でも 私よりも よく知ってらっしゃいます。」

富士子「よろしくお願いします。」

茂木「ん? 何のこと?」

光子「あっ こちらは ムーランルージュにいた 咲ちゃんの妹さんです。」

なつ「なつと申します。」

茂木「ああ… あの小僧さんか ハハ。」

光子「さあ 社長も お掛けになって。 いつものお紅茶で よろしいですわね?」

茂木「ああ。 それで?」

光子「なつさんは 咲ちゃんを捜しに 北海道からやって来たんですって。」

茂木「ああ…。 そういえば そんな話を聞いたことがあったな。」

なつ「私のことを 兄からですか?」

茂木「うん。 生き別れになった妹を いつか この新宿に呼び寄せるんだって。」

なつ「本当ですか?」

茂木「ああ 本当さ。 あの言葉に うそはなかったと思うよ。」

信哉「あの 私は 咲太郎の幼なじみなんですが 咲太郎は いつから ムーランルージュにいたんでしょうか?」

茂木「う~ん…。 空襲で焼けたムーランが 22年に新設されて そのころには ずっといたね。 よほど ムーランルージュが 好きだったんだろう。 結局は ストリップの人気に押されて 潰れてしまったけどね。 いつか 咲ちゃんも 役者になりたかったんじゃないかな。」

なつ「兄がですか?」

茂木「ああ。」

信哉「あの その後の咲太郎の行方を 知っていそうな方を ご存じないですか? ムーランルージュの関係者で。」

茂木「う~ん…。戦前から ムーランにいる 煙カスミって歌手が この近くのクラブで歌ってるけどね。」

富士子「クラブ?」

なつ「けむり…。」

茂木「煙。」

なつ「かすみ…?」

茂木「カスミ。」

クラブ・メランコリー

カスミ♬『リンゴの花びらが 風に散ったような 月夜に月夜に そっと エエエー』

柴田家

居間

夕見子「食べてよ。」

明美「お母さんと なつ姉ちゃん 無事に着いたかな?」

照男「もう とっくに着いてるさ。」

剛男「しかし こんな寂しい食卓は初めてだな。」

泰樹「そだな。 お前が  戦争に行ってる間も もっと にぎやかだったな。」

剛男「あ… そうですか…。」

(笑い声)

夕見子「ちょ… ちょっと…。」

クラブ・メランコリー

カスミ♬『つがる娘は泣いたとさ つらい別れを泣いたとさ リンゴの花びらが 風に散ったような』

(拍手と歓声)

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