雪之助「うん。 こんなものね 十勝で作ったもんは まだ誰もいないと思うんだわ。 まずは 泰樹さんに 食べてもらおうと思って。 どうぞ どうぞ…。」
泰樹「何じゃ こりゃ?」
雪之助「ホイップした生クリームです。 牛乳の脂肪分だけを 激しく泡立てると そうなるんだわ。 それを使ったお菓子がね これからは どんどん はやると思うんです。 東京じゃ もう はやってるかもしれんな…。 春になったら 雪次郎を連れて 東京行くんで 調べてきますね。」
泰樹「そうか…。」
とよ「お前 その東京に なっちゃんも連れてってやんな。」
雪之助「えっ?」
泰樹「頼む。」
雪之助「ええ?」
柴田家
子供部屋
回想
天陽「なっちゃんは 自分の信じたことをやればいい。」
なつ「天陽君… そんなに応援しないでよ! さよなら!」
回想終了
なつ「ああ!」
夕見子「何!?」
なつ「夕見 私は バカだ…。」
夕見子「知ってる。」
山田家
馬小屋
天陽「照男さん…。」
照男「なつと話したか? なつが 東京に行ってもいいのか!」
天陽「俺に どうすることができるんですか?」
照男「どうするって… どうしたいんだ?」
天陽「俺 ず~っと思ってたんです。」
照男「何を?」
天陽「なっちゃんは いつか この土地からいなくなるって。 なっちゃんにとっては それが 自然なことだろって…。 自然には逆らえないでしょ。」
照男「だから 諦めんのか?」
天陽「俺は ここで生きるって決めたから 子どもの頃に…。 昔 なっちゃんが 俺にしてくれたように なっちゃんが決めたことを 俺は守ります。」