囲炉裏
夕見子「ん? あれ うまいわ!」
照男「だべ。」
明美「おいしい!」
剛男「うまい。」
泰樹「なつ。」
なつ「はい。」
泰樹「お前のことは 雪月に頼んどいた。」
なつ「えっ?」
泰樹「雪次郎と一緒に 東京へ行けばいい。」
剛男「お義父さん 何ですか? 急に。」
なつ「じいちゃん…。 私は もう じいちゃんと 家族ではいられんの?」
泰樹「いつでも戻ってくりゃいい。 ここが お前のうちじゃ。 それは変わらん。 先に 東京の用事を済ませてこい。」
なつ「じいちゃん…。」
泰樹「したけど… お前が もし… 東京で幸せになるなら… それも 立派な親孝行じゃ。 それを忘れんな。 絶対に それを忘れるな。」
列車
<なつよ… どうした? 浮かない顔して。 お前の魂は 今 どこにある? 抜けちゃったのか?>
雪月
とよ「あっ なっちゃん。」
なつ「とよばあちゃん…。」
とよ「あっ 東京のことかい? 柴田のじいさんから…。」
なつ「ばあちゃん!」
とよ「おっとっと! どしたの?」
なつ「私は ずるい…。」
とよ「ずるい?」
なつ「じいちゃんを… 裏切ってしまった。」