亜矢美「もし よければなんだけど…。 狭いんだけどさ 上に2部屋あるから。」
咲太郎「生活の面倒は 俺が見るよ。 なんとかする。 俺に任せろ。」
亜矢美「バカ! お前の そのなんとかってのが 一番信用できないの。 だから こうなってんでしょ。」
咲太郎「いや なんとかするしかないだろう!」
亜矢美「どうやって?」
咲太郎「だから… なつのために働くよ。」
亜矢美「食べていけんのか? 新劇で。」
咲太郎「ほかの仕事も探すよ。」
亜矢美「私が なんとかします。」
咲太郎「そのなんとかだって 当てにならないだろ。 やっと この店を借りて生活してるくせに。」
亜矢美「とにかくさ ここに いてもらってさ んで 食べていければいいんでしょう?」
咲太郎「食べさせられんのかよ?」
亜矢美「あっ おでん 毎日食べれんじゃない ねえ。 あっ 何だったら ここで働いてもらってもいいわよ。」
咲太郎「客も ろくに来ない こんな所で 働いて どうするんだよ。」
亜矢美「こんな かわいい子 来てくれた お客さん いっぱい来ちゃうわ。」
咲太郎「おい 俺の妹を 商売に使おうってのかよ。」
亜矢美「ちょっと手伝ってもらうだけでしょ。 あっ その方がね ここに いやすいわよ。 ねえ?」
なつ「嫌です…。 やめて下さい…。」
咲太郎「えっ?」
なつ「2人して 私をバカにしないで下さい。」
亜矢美「バカになんかしてないから。」
咲太郎「何言ってんだよ?」
なつ「私は もう 一人で生きられます。 ここは 私とは 何の関係もないとこですから。 帰ります。」
玄関
咲太郎「えっ…? ちょっ… おい なつ… なつ! おい なつ! なつ! なつ… 待てよ! どうしたんだ? なつ。」
なつ「お兄ちゃんは 私と千遥を捨てたんでしょ。 それで楽しかったんでしょ? ずっと…。 死ぬほど心配してたのに… 私と千遥のことは とっくに忘れて… もう関係なかったんでしょ!」
咲太郎「なつ…。」