連続テレビ小説「なつぞら」第46話「なつよ、東京には気をつけろ」【第8週】

なつ「言葉は しょうがないしょ。」

咲太郎「言葉だけじゃねえ…。 何か… 苦労が 顔に にじみ出てる。」

なつ「聞きようによっては 失礼だからね それ。」

咲太郎「悪かった。 すまん このとおりだ。」

なつ「ねえ やめてよ… お兄ちゃんが謝ることなんてないから。」

咲太郎「俺のせいで 皿洗いなんかさせて…。」

なつ「だから… さっきから勘違いしてるみたいだけど 何も お兄ちゃんのためじゃないから!」

咲太郎「分かった。 とりあえず行こう。 話は そこでだ。」

おでん屋・風車

1階店舗

なつ「お兄ちゃんの家って どこ?」

咲太郎「もう そこだ。 なつ… なつに会わせたい人がいるんだ。」

なつ「誰?」

咲太郎「話は会ってから。」

なつ「そこは…。」

(戸が開く音)

咲太郎「連れてきたよ。」

亜矢美「あっ いらっしゃい。 おばんでござんす。」

なつ「ここは 歌手の煙カスミさんと…。」

亜矢美「咲太郎 お店閉めちゃおっか。 うん うん…。」

咲太郎「えっ いいのか?」

亜矢美「いいの いいの いいの… 早く…。」

咲太郎「分かった。」

亜矢美「なつさん おなか すいてらっしゃるでしょ? ね。 咲太郎 咲太郎! 今日はさ 奥の座敷で 3人で ごはん食べましょうよ。」

咲太郎「ああ いいね そうするか。 なつ 奥行こう。」

なつ「待ってよ お兄ちゃん…。 いい加減にしてや!」

咲太郎「どうした? なつ。」

なつ「こんな大人の人まで…。」

咲太郎「えっ?」

なつ「ここで 一緒に暮らしてるってこと?」

咲太郎「まあ そういうことだ…。」

なつ「ねえ 言うよ! 私 言っちゃうからね!」

咲太郎「うん 何でも言ってくれ。」

なつ「この人のために言うよ!」

亜矢美「ん 何?」

なつ「去年の夏休み 浅草で会った踊り子の人は お兄ちゃんに よろしくって言ってたよ! また いつでも遊びにおいでって! 朝まで 一緒にいたんでしょ!?」

咲太郎「ああ マリーのことか?」

なつ「それから 煙カスミさんと 一緒にいた人も…。」

亜矢美「あっ 土間レミ子ちゃんね。 付き人の。」

なつ「そうです。 その人が お兄ちゃんに返してだって!」

咲太郎「何を?」

なつ「心の操! 真心だって!」

咲太郎「何だ? それ。」

なつ「知らんわ そったらこと! それから 佐知子さんは…。」

咲太郎「あ~ 待て! 分かった! 言いたいことは分かった。 違うよ。 それは勘違いだ。」

なつ「いや 勘違いさせてんのは お兄ちゃんでしょ!」

咲太郎「あ~ まあ 落ち着け! 落ち着けって…。」

亜矢美「ねえ もうバカでしょ 咲太郎ね。 困っちゃうわよね アッハハハ…。」

なつ「何で そんな落ち着いてるんですか?」

亜矢美「あっ… あっ まさか えっ… 妬くとか? うん? うん?」

咲太郎「バカ この人は違うよ。 この人は 俺の母ちゃんだ。」

なつ「えっ?」

咲太郎「まあ 母ちゃんみたいなもんっていうか 岸川亜矢美って 元ムーランルージュの踊り子だ。 今から ゆっくり話すよ。」

なつ「あっ…。」

回想

藤田「咲太郎は 戦後のマーケットで うろうろしてるところを助けたんだ。」

なつ「それは ありがとうございました。」

藤田「助けたのは俺じゃねえ。 戦前から ムーランで踊ってた 岸川亜矢美っていう踊り子だ。」

回想終了

1階居間

亜矢美「あっ ああっ あ~っちっち…!」

なつ「あなたが そだったんですか…。」

亜矢美「あっ まあね…。」

咲太郎「そうか… 藤正親分や 角筈屋書店の社長から聞いてたか。」

なつ「でも それなら どして 歌手の煙カスミさんは あなたのことを隠してたんですか?」

亜矢美「えっ?」

なつ「去年 東京に お兄ちゃんを捜しに来た時も そだったし この間も あなたのことを 私に隠してましたよね?」

亜矢美「あ… それは 私に 気を遣ってくれたんじゃないの? うん…。」

なつ「どうしてですか?」

亜矢美「う~ん…。 あれ どうしてかしら? アハハハハ…。」

咲太郎「なつ そんなことは どうだっていいだろう 会えたんだから。 それより なつ ここで お前も 一緒に暮らさないか?」

なつ「えっ?」

咲太郎「なつさえ よければ ここに住んでいいんだよ。」

なつ「私も一緒に?」

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