連続テレビ小説「なつぞら」第67話「なつよ、千遥のためにつくれ」【第12週】

幸一「その手紙は 千遥ちゃんが持って出たようです。」

咲太郎「千遥が?」

幸一「はい。 だから… いずれは あなた方に会えるだろうと 私たちは いちるの望みを抱いてたんですが…。」

なつ「千遥は… 私らに会いたくなって 家出したんですよね? 私や兄に会いたくて…。」

幸子「うちの母から 逃げたんだと思います。」

なつ「えっ?」

幸一「幸子。」

なつ「逃げたって…。」

咲太郎「どうして?」

幸子「母が… 千遥ちゃんに きつく当たっていたからだと思います。 千遥ちゃんにばかり きつい仕事を言いつけて… 食べ物も 私や兄や姉よりも 少なく与えて… それで 我慢しきれなくたって 千遥ちゃんは逃げ出したんだと思います。」

咲太郎「おばさんが? おばさんは そんな人じゃなかった…。 俺は よく覚えてます。 母にとって おばさんは 唯一の姉妹みたいな人で… 本当は 俺たち家族全員で 疎開しようとしてたくらいなんです。」

幸一「あのころの家内は 本当の家内ではなくなっていました。 私が こんな体になって復員して… 幸子の上にも 3人の子どもがいて 食べ物もなくて 働き手もいなくて…。」

咲太郎「だから… 千遥を いじめたんですか?」

なつ「千遥は… ずっと苦しんでたんですか…。」

幸子「千遥ちゃんは ずっと笑っていました。」

なつ「えっ?」

幸子「だから 私も平気なのかと思って…。 千遥ちゃんは 嫌なことがあっても 作り笑いばかり浮かべてて それで 母は 余計に イライラしてたみたいで… バカにしてるのかって どなって…。 ごめんなさい… 私たちのせいなんです…。」

幸一「本当に申し訳ない…。」

咲太郎「なつ…。」

回想

千遥「サンキュー。」

回想終了

<なんて つらい日だ…。 私は もう そちらには帰れない。 千遥が 今 どうしているのか 2人に 何も話してやれない。 この日は なつたち きょうだいにとっても 特別な日だったのです。>

おでん屋・風車

1階店舗

信哉「乾杯。」

亜矢美「お祝いしとこ…。」

(戸が開く音)

亜矢美「お帰り。」

信哉「お帰り。 どうだった?」

咲太郎「千遥は 子どもの頃に 家出をしたらしい。」

亜矢美「えっ…。」

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