なつ「それなら 無理に優しくしなくたっていいよ。」
夕見子「えっ?」
なつ「私は 大丈夫だから。 無理しないでね。」
富士子「よいしょ…。 ああ お帰んなさい。」
なつ「あっ ただいま! あの おばさん 何か手伝います。」
富士子「そう? じゃあね… 明美と遊んでてくれる?」
なつ「はい。」
富士子「そんだけで助かるわ。」
なつ「はい。 明美ちゃん おねえちゃんと行こう。 よし。」
夕見子「あの子… 腹立つ!」
富士子「えっ?」
玄関前
なつ「やった~! 分かった? じゃあ 今度 明美ちゃんの番。」
(薪割りの音)
なつ「上手ね それ 私にも教えて。」
照男「えっ?」
なつ「私にもやらせて。 手伝います。」
照男「ダメだよ! 危ないよ。」
なつ「大丈夫よ。 明美ちゃん ちょっとだけ離れててね。」
照男「ダメだったら! お前は 牛の乳搾りがあるだろ。 これは 俺の仕事だよ。」
なつ「そっか そうだよね。」
なつ「私のお兄ちゃんは ダンスを踊れるの。」
回想
咲太郎♬『得意顔 東京は銀座へと来た』
回想終了
なつ「タップダンスって知ってる? 昔 浅草の芸人に習ってたんだって。 私も習いたかったけど 戦争になったから ダメだったの。」
照男「何 言いたいの?」
なつ「それだけ。 行こ 明美ちゃん。」
なつ<それから 何日たっても 兄からの返事は来ませんでした>
牛舎
なつ「ただいま!」
<私は おかしいと思うようになりました>