下山「まあ 僕が原画だから そう呼ばれることになる。 全体的な作画は 仲さんと井戸さんに 見てもらうわけだけど うちに来たカットは 責任を持って 僕たちで いいものにしよう。 ね。」
なつ「はい! 頑張りましょう!」
麻子「一番下っ端のあんたが 鼓舞して どうすんのよ。」
なつ「いや すいません… 自分に言っただけです。」
麻子「何か このチーム 私には 嫌みに感じるんですけど。」
なつ「どういう意味ですか?」
堀内「どういう意味?」
茜「あ… 私 足を引っ張らないように頑張ります。」
麻子「茜ちゃんは いいのよ。」
なつ「どういう意味ですか!?」
堀内「どういう意味?」
麻子「相性が悪いって意味でしょ 何で分かんないのよ!」
下山「いや まあ まあ まあ…。 仲よくやりましょう。 ね…。 よし 今日のランチ 僕がおごっちゃおう! アッハハハハ…。」
4人「ごちそうさまです!」
下山「そういう時だけ 気が合うのね…。」
喫茶店・リボン
下山「かんぱ~い!」
一同「かんぱ~い!」
堀内「頂きます。」
下山「それにしても あれだね 堀内君が辞めなくて 本当によかったよ。」
堀内「えっ?」
下山「てっきり『白蛇姫』で 辞めるもんだと思ってたからさ。」
麻子「私も辞めると思ったわ。」
下山「何か 芸大から来て辞めた人って 何人もいるからね。 アニメーターの仕事に失望してさ。」
なつ「失望しなかったんですか?」
堀内「どうして 失望しなくちゃいけないんだ?」
麻子「あまり 漫画映画は 好きじゃなかったでしょ?」
堀内「好きで入ったわけじゃないけど 今 辞めたら 僕が使えなかったことになるじゃないか。」
下山「いや そんなことないよ。」
堀内「で マコちゃんは 好きで入ったの?」
麻子「好きで入ったのよ。」
茜「へえ~ 意外。」
麻子「どういう意味で? 私には ディズニーの世界 似合わないって言いたいわけ? 『白雪姫』に感動しちゃ悪いの?」
なつ「『白雪姫』だったんですか? きっかけは。」
麻子「そうよ。」
茜「それなのに あんな怖い常盤御前に なっちゃったんですか。」
麻子「ちょっと。」
下山「まあ でも やっぱり 描く人に似ちゃうんだよね 絵って。」
なつ「茜さんは 好きで入ったんですか?」
茜「私は 何となく…。 短大の頃は いろんな所を放浪しながら のんびり絵を描くのが好きだったのよ。」
堀内「う~ん 山下 清か。」
茜「フフフ… それで 漫画映画の仕事って 面白そうだなと思って。 まあ 絵を描いて もうかるのかと思ったら 全く そんなことなかったけど。」
なつ「そこは同意します。」
麻子「下山さんは 拳銃を撃ちたくて 警察官になったんですよね?」
なつ「えっ!」
下山「バ~ン…。 まあ それで アクションばっかり 描かされるようになっちゃってさ。 女が苦手だとか言われて。 あっ そうだ 僕の下にいる限り あんまり 常盤御前 回ってこないと思うよ。 残念だけど。」
なつ「え~ そなんですか?」
下山「そんなに 露骨にがっかりしいないでよ。」
なつ「描いてみたいです。 亀山蘭子さんが 声をやるんですよね。」
下山「うん。」
茜「奥原さんは 聞くまでもなく 好きの塊だね。」
なつ「はい… 今の私にできるほは これしかありませんから。」
麻子「できる?」
なつ「あっ いや… できるようになるしかありませんから!」
麻子「よろしい。」
(笑い声)
茜「あ… 常盤御前のライブアクションには 参加できるんですか?」
下山「それは もちろんだよ。 動画のみんなは 自由参加だからね。」
なつ「ライブアクションか…。」