連続テレビ小説「なつぞら」第87話「なつよ、ワクワクが止まらない」【第15週】

会議室

<そして なつが描いたイメージをもとに ストーリー作りが始まりました。>

坂場「これから ストーリーを 皆さんと検討したいと思います。」

茜「あの すみません。」

坂場「はい。」

茜「そのイメージボード まっすぐに貼り直してもいいですか?」

坂場「あ… どうぞ。 すみません。」

麻子「相変わらず不器用ね。」

下山「え~ 親に捨てられて 森の中で迷い お菓子の家を見つけて 魔女に捕らえられる。 ここまでは ほぼ原作どおりだよね。」

坂場「はい。 問題は ここからなんです。 ヘンゼルとグレーテルは 魔女を殺さずに 魔女から逃げ出したいんです。」

下山「逃げる?」

坂場「これは 奥原さんのアイデアですが 魔女よりも もっと悪いやつがいたらどうかと。」

堀内「魔女よりも悪いやつ?」

茜「魔女が 最終的な敵じゃないってこと?」

なつ「はい そうです。」

下山「つまり 影の本丸か?」

なつ「魔女は その本丸に 仕えているだけなんです。 例えば 森の奥に こういう高い塔が建っていて そこに いたらどうかと。」

下山「うん バベルの塔のように。」

茜「そこは お菓子の塔じゃないんだ。」

なつ「はい。」

下山「いや ちょ ちょ ちょ ちょ ちょ ちょ ちょい…。 イッキュウさんが貼ったら それ ピサの斜塔みたいになっちゃう。 やめて。」

なつ「あっ… で その塔には 闇の世界を支配する悪魔がいるんです。」

下山「悪魔?」

なつ「その悪魔の塔に 魔女は 捕まえた子どもたちを 連れていかなくちゃならないんです。 その途中で ヘンゼルとグレーテルが逃げるんですよ。」

堀内「どうやって逃げるの?」

なつ「鳥が助けるんです。」

堀内「鳥?」

なつ「ほら 森に来る時に ヘンゼルは パンをちぎって 落としていくじゃないですか。 そのパンを食べた鳥たちが 今度は ヘンゼルに恩返しをするんです。 鳥たちが 魔女を襲って ヘンゼルたちを逃してやるんですよ。」

堀内「話を作り過ぎてないか? それじゃ もう グリム童話の 『ヘンゼルとグレーテル』ではないだろう。」

神地「面白い! あっ 面白いと思います! 僕も やっと この企画に 乗れるような気がしてきました。」

なつ「本当?」

堀内「新人が 生意気なこと言うなよ。」

神地「遠慮なく意見を言えって言われたんで…。」

坂場「いいですよ 何でも言って。」

神地「あっ それから どうなるんですか? 鳥が助けられたあとは。」

茜「そう まさか そこで終わりじゃないわよね? あっ 悪魔が まだ出てきてないもの。」

なつ「はい。 あの ヘンゼルとグレーテルは それで逃げるんですが 魔女が追ってきて また捕まっちゃうんです。 例えば 妹のグレーテルが 魔女に捕まって 兄のヘンゼルが 悪魔の塔に助けに行くんですよ。」

神地「面白くない!」

なつ「えっ?」

神地「僕は 捕まるなら 兄のヘンゼルだと思います。 それを 妹のグレーテルが 助けに行くんです。 ずっと魔女の手伝いをさせられながら 兄を助けようとしてきた。 その思いを 最後まで いちずに貫かせてやるべきです!」

なつ「なるほど…。」

麻子「ちょっと。」

なつ「えっ どうやって塔の上まで登るの?」

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