連続テレビ小説「なつぞら」 スピンオフ 秋の大収穫祭とよさんの東京物語②

とよ「あっ お疲れさまでした。」

松井 島貫「お疲れさま。」

とよ「ちょっと 師匠に用事があるんだわ。」

島貫「あ… じゃあ 俺らは外で飲むか。」

松井「そうだな。 ごゆっくり。」

とよ「申し訳ない…。」

とよ「どうした…?」

妙子「お義母さん…。」

妙子「私 やりますから。」

とよ「いいの いいの。」

妙子「何か すみません。」

とよ「気にすんでない。」

妙子「あ… 義母(はは)が いつもお世話になってます。」

レミ子「いいえ 私の方こそ…。」

妙子「雪次郎の その節は 本当お世話になりました。」

レミ子「いえ…。」

妙子 レミ子 とよ「あの…。」

とよ「ああ あんたから…。」

妙子「いや どうぞ。」

レミ子「どうぞ どうぞ…。」

とよ「いやいや 師匠…。」

妙子「じゃ いいですか!」

レミ子「どうぞ!」

妙子「お義母さん。」

とよ「何だべ?」

妙子「雪月には やっぱり お義母さんがいないと ダメなんです。」

とよ「何かあったんだね?」

妙子「夕見子ちゃんと雪次郎に 新しい雪月を打ち出したいと言われて 任せたんです。 2人とも よく頑張ってくれた。 でも 私が うまく助けてあげられなくて あげくの果てに 私 どなり飛ばしちゃったんですよ。 ああ もう本当に情けない。 やっぱり 私じゃダメなんです。」

とよ「なして決めつける? あんたは あんたでいい。 妙子さん 私は あと10年 いや 20年は生きる。」

妙子「お義母さん 今 93ですよ。」

とよ「この年で 新しい仲間に出会って 新しいことに挑戦できるなんて うれしくってな。 必ず オーディションに合格してみせる。 それで 今度は菓子屋じゃなくて 声優の道を究めるんだ。 まだ まだ もっと もっと うまくなりたい。」

妙子「どうして そんなに頑張れるんですか?」

とよ「先週までは こんなふうに思えなかった。 いつ死んでもいいと思ってた。 だけど 知らない世界に 一歩 足を踏み込んだら 何でか 生きる気力が湧いてきた。 自分の心の引き出しに ま~だ こんな思いがあったんだな。 妙子さん あんたは雪月のおかみだ。」

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