連続テレビ小説「なつぞら」 スピンオフ 秋の大収穫祭 十勝男児、愛を叫ぶ!

富士子「東京に行く用事が できたって言うのさ。 したら 夕見子 車出すなら乗ってくわって言って 一緒に。」

雪次郎「なしてですか! 俺が来ること分かってたしょや?」

照男「残念だったな 雪次郎。 いい所に連れてってやるから 元気出せ。」

雪次郎「いい所? 何ですか? それ。」

照男「秘密基地だ。 はい。」

砂良「いやいや… ちょっと あんた! どこ行くの? ちょっと!」

戸村家

秘密基地

照男「お~い みんな みんな ゲストのお出ましだ。」

菊介「おお 雪次郎! とうとう お前も こっち組みか!」

雪次郎「え ここは…?」

菊介「ここは 菊介さんの秘密基地。 家の居場所なき男たちの隠れがだわ。」

門倉「嫁さんたちには ないしょだぞ。」

雪次郎「組合長まで…。」

田辺「俺は視察だ 視察。」

門倉「よ~く言うわ! 時々 飲みに来るのさ。」

菊介「さあ 哀れな雪次郎よ 心行くまで飲みふけるがいいさ。 はい かんぱ~い!」

田辺「乾杯!」

照男「乾杯!」

雪次郎「1杯だけ 1杯だけ…。」

♬『エフ エフ ジェイ エフ エフ ジェイ われらの誇り』

菊介「イエ~イ!」

門倉「イエ~イ ハハハ! いや~ 菊介さんも組合長も 勝農の先輩だったんだもな!」

菊介「そうだぞ 組合長なんて初代番長だ! 番長っぽいべ?」

照男「むちゃくちゃ ぽいっす!」

田辺「押忍!」

一同「押忍!」

雪次郎「ちょっと みんな 一つ聞いてくれ。 夕見子のやつがね もう いっつも だらしがねえ 情けねえ 意気地がねえって さんざん言うんですよ。 したけどね 俺は言ってやりたいんですよ。 俺だって 十勝の男だわって!」

門倉「ああ そうだ いいぞ 雪次郎!」

菊介「いいぞ! でも それ 組合長な!」

雪次郎「夕見子も おふくろも ばあちゃんも 十勝の男は弱えって言うけどさ 違えんだって…。 あんたたちが強すぎるだけだって!」

菊介「うん それ 組合長な!」

雪次郎「菊介さ~ん… もう夫婦って 一体 何なんでしょうね…。」

菊介「俺にも分かんねえよ 雪次郎…。」

雪次郎「うん…。」

菊介「嫁とも娘とも どうも ギスギスしちまってよ…。」

公英「お父さん これ どこ置けばいいの?」

菊介「その辺でも置いとけや。」

公英「ねえ お父さん。」

菊介「えっ?」

公英「いい加減 お母さん 迎えに行きなや。 もう1週間だよ。」

菊介「何だよ おい…。」

田辺「何だ 嫁さん 実家に帰っちゃったのか?」

雪次郎「えっ?」

菊介「おい 公英 人前で みっともないこと言うんでねえよ。」

公英「みっともないと思うなら さっさと謝って 許してもらいなや。」

菊介「な~んで 俺が謝んなきゃ…。」

公英「元はと言えば お父さんが 結婚記念日 忘れたのが原因でしょ。」

菊介「こっちは 毎日 忙しく働いてんだ。 そったらこと いちいち覚えてられっか。」

公英「意地張っちゃって… はんかくさ!」

雪次郎「あっ あ~…。」

門倉「あ~あ…。」

照男「ギスギスしてたな…。」

門倉「ハハハハ…。」

田辺「近頃まれに見る ギッスギスだ…。」

雪次郎「菊介さん 嫁さん 出てっちゃったんすね。」

菊介「一緒にすんなっつうの!」

(笑い声)

門倉「したけど… 男の立場が低いのは どこも同じなんだな。」

田辺「おい! これからの十勝を 支えていくのは 君たちだろ! そんな調子で どうすんだよ!」

菊介「そうだ! このままじゃ 十勝男児の名が廃る! 女たちに 俺らの男らしさを 思いださせねばなんねえ! な!」

門倉「そうだ! そうっすよ 先輩!」

菊介「今こそ 女たちに持つイメージを 書き換えるんだ!」

門倉「うお~!」

照男「そんなこと できんのかって?」

菊介「できる! やる!」

雪次郎「したけど どうやって…。」

菊介「十勝男自慢コンテスト! これしかないべ!」

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