連続テレビ小説「なつぞら」 スピンオフ 秋の大収穫祭 十勝男児、愛を叫ぶ!

剛男「五十嵐君のことは よ~く覚えてます。 自由時間に こっそり 上官の愚痴を言い合ったりして…。 よく笑う人でしたね。」

静「ええ。 2か月前… 肺がんでした。」

剛男「そうですか…。」

静「お電話で お話ししたものです。 主人の遺品を整理していましたら こちらが…。 失礼を承知で 中を拝見しました。 その手紙は 柴田さんのものではありませんか?」

剛男「はい。 これは 僕が書いたものです。 僕は 戦友の奥原さんという人と お互い 手紙を託したんです。」

剛男「戦死された君たちのお父さんから 手紙を預かってきたんだ。 君たちへの思いが込められてる。 どちらかに 何かがあった時には 家族に それを届ける約束をして…。」

剛男「見つからないと思ってました。 ご主人が持っていてくれたんですね。」

静「主人は 皆さんが その後 どうされているのか 気にかけていました。 どうか 聞かせてやって下さい。」

剛男「はい もちろん。」

回想終了

剛男「読んでみるかい?」

なつ「え… いいの?」

剛男「うん。 あ 内容は みんなに言わないでね。 恥ずかしいから。」

なつ「うん 分かった。 ありがとう。」

剛男『富士子ちゃん 照男 夕見子 明美。 僕は 今 北支の西の方にいます。 いつ敵が襲ってくるか分からないので 心が落ち着く暇がありません。 そんな時は いつも 穏やかな十勝の暮らしを思い出します。 富士子ちゃんの作った煮物の味 照男の腕の中で 小さく笑う明美 夕見子が 最後に言ってくれた言葉 忘れることができません』。

剛男『ああ 会いたいな。 僕は家族に会いたい。 富士子ちゃん 会いたいです。 富士子ちゃん 大好きです。 富士子ちゃん 富士子ちゃん 富士子ちゃん。 声に出して呼びかけたい。 今すぐにでも 富士子ちゃんに会いたいです。 柴田剛男』。

なつ「フフ… ねえ 父さん 会いたい 会いたいばっかりでないの。」

剛男「しかたないだろ そん時は 本気 そう思ってたんだから。」

なつ「でも うれしいよ。 こんなに会いたいと思ってもらえるのは。 父さんは 本当に みんなのことが大好きなんだね。 ねえ 夕見子が最後に言った言葉って?」

剛男「えっ? ああ それはね…。」

(電話の呼び鈴)

なつ「はい もしもし。」

富士子『もしもし なつかい?』

なつ「母さん?」

剛男「富士子ちゃん?」

富士子『ちょっと大変なんだわ。 夕見子に たきつけられて…。 男たちが わやなこと始めたんだわ!』

戸村家

秘密基地

菊介<十勝女房自慢コンテスト 前夜のことです>

菊介「よし みんな 集合。」

門倉「はい。」

菊介「いよいよ 十勝女房自慢コンテストが 開催される!」

門倉「おう!」

菊介「名前は乗っ取られちまったが 俺は 今でも男自慢コンテストのつもりだ。 男らしいところを見せつけて 女房たちを ほれ直させるべさ!」

門倉「おう!」

雪月

回想

夕見子「私は もし 結婚するとしたら あんたしかいないと思ってた。」

雪次郎「えっ… いつ いつから?」

夕見子「いつって… いつの間にか そう思ってたわ。」

回想終了

雪次郎「夕見子ちゃん…。」

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