連続テレビ小説「なつぞら」 スピンオフ 秋の大収穫祭 十勝男児、愛を叫ぶ!

雪次郎「いやいや いやいや 雪見は いじめられてる子を かばってだな…。」

夕見子「だったら なおのこと 正義を突き通すべきだべさ。 暴力に屈して 尻尾巻いて逃げてくるなんて。」

雪次郎「雪見は そういう性格でねえべや。 もめ事とか争い事とか 昔から嫌いだったべ。 なあ?」

雪之助「ほら 雪見… 拭け 拭け。 な。 夕見子ちゃん たかが 子どもの喧嘩だべ。 そう むきにならずにさ…。」

夕見子「子どもの喧嘩だからです! 大人の出る幕でないから 子どもが 自分で なんとかしなくちゃならないんだべさ。」

雪次郎「もう いい加減にしろって! 雪見も泣いてるべや。 雪見は 夕見子ちゃんみてえに 強くねえんだわ。」

夕見子「あんたに… あんたに何が分かんのさ。」

雪之助「夕見子ちゃん…。」

雪見「お母さん!」

雪次郎「いくら何でも 厳しすぎるべ…。」

柴田家

居間

富士子「早く帰った方が いいんじゃないの? 雪次郎君も心配するっしょ。」

夕見子「はあ… それが しないんだわ 雪次郎ってやつは。 私が出てったのだって いつものことだとか思ってんのさ。 雪次郎に危機感を覚えさすには もうしばらく時間が必要なの。」

雪見「(ため息)」

剛男「子どもが ため息なんかついちゃダメだ。 幸せが逃げちゃうしょ。 したけど 自分の娘ながら お前の母さんは 一筋縄ではいかないな。 なんして あんな強い女に なっちまったんだべか…。」

雪月

雪次郎「いつものことだわ。 夕見子ちゃんが へそ曲げんのは。」

雪之助「したけど 結構な迫力だったべ。」

雪次郎「夕見子ちゃんは いっつも ど迫力だべや。 いちいち 怖がってたら 一緒に暮らせねえよ。」

雪之助「まあ おふくろみたいなもんか。 ハハハ。」

とよ「何か言ったかい?」

雪之助「地獄耳 地獄耳。」

とよ「悪口は聞き逃さないよ。 雪次郎 あんた こんなことしてていいのかい。 嫁が出てったっていうのに。」

雪次郎「したから あんなの いつものことだって。」

とよ「あの子は 昔 東京に駆け落ちしたって話だべ…。 やるときゃ やるんでないかい?」

雪次郎「いや そったらこと…。」

(電話の呼び鈴)

妙子「はい もしもし…。」

雪次郎「もしもし 夕見子!」

剛男『あ… ごめん 私で。』

雪次郎「あ お義父さん…。 そちらに 夕見子ちゃん お邪魔してませんか?」

剛男『ああ 来てるわ。 何だか 虫の居どころが悪そうなんだわ。 雪次郎君 一体 何があったのさ?』

雪次郎「いや まあ その 夫婦喧嘩というか…。」

剛男『雪見も不安そうにしてるんだわ。 店が忙しいのは分かるけど 早く迎えに来てやってや。』

雪次郎「はい…。」

雪次郎「母ちゃん ばあちゃん 父ちゃん ごめん!」

とよ「最初から そうすりゃいいべさ。」

柴田家

居間

剛男「雪次郎君 こっちさ来るって。 何だか 飛んできそうな勢いだったわ。」

富士子「ああ そう。 よかったね。」

雪見「うん。」

富士子「夕見子 これで一見落着ね。」

夕見子「はあ?何が一件落着なもんか。」

(電話の呼び鈴)

富士子「夕見子 ほら 雪次郎君でないの。」

夕見子「ああ もう しつこい男だね。 はい もしもし!」

『もしもし 柴田さんのお宅でしょうか?』

夕見子「はい。 そうですけど…。」

『柴田剛男さんは いらっしゃいますか?』

夕見子「父さん… 女の人から。」

剛男「えっ?」

富士子「女?」

夕見子「うん。」

台所

(戸が開く音)

雪次郎「おばんです!」

砂良「あっ 雪次郎君 おばん…。」

雪次郎「お邪魔します!」

居間

雪次郎「夕見子ちゃん 雪見 迎えに来た… ぞ…? お義母さん 夕見子ちゃんと雪見は?」

富士子「もう帰ったわ。」

雪次郎「え… 帰った?」

富士子「昼間 うちの人に電話があってね。」

回想

『柴田剛男さんは いらっしゃいますか?』

回想終了

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