連続テレビ小説「カーネーション」第58回「秘密」【第10週】

台所

<世の中では『食べ物がない』ちゅうて 大騒ぎしています。 そやけど うちは お金の代わりに 食べ物を置いていってくれる お客さんらの おかげで 全然 不自由してませんでした>

ハル「あんた それ 豚やんか?!」

糸子「せや。」

ハル「そんなもん どこで買うてきたん? なあ 闇だけは やりなや。 人に知れたら えらいこっちゃで。」

糸子「うちは 闇は せえへん。」

居間

一同「うわ~!」

勝「カツレツや!」

糸子「大将のやで。 今日は 大将が おなかいっぱい 食べてから あんたらの番やさかいな。」

勝「かめへん。 食え食え。 お前らも 今まで ご苦労さんやったなあ。」

台所

糸子「ちょっと お父ちゃん 遅いなあ。」

千代「うん。『必ず 行く』ちゅう ちゃったんやけどなあ。」

糸子「何してんやろ?」

千代「多分なあ どんな顔して 来たらええか 困ってんやで。」

糸子「困ってる?」

千代「案外 こういう時 何 言うたらええか 分からへんように なるさかいな お父ちゃん。」

玄関前

勝「何してんや?」

糸子「う~ん お父ちゃん なかなか来えへんよって。」

勝「うん…。」

糸子「あ 来た! もう 遅いやんか お父ちゃん。」

勝「お父さん…。」

善作「うん。」

勝「すんません。 赤紙… 来てしまいました。 すんません…! すんません… すんません…。」

(泣き声)

勝「お父さん すんません…。」

(泣き声)

勝「すんません…。 すんません…。 お父さん すんません。」

居間

<そのあと お父ちゃんと勝さんは 2人きりで 一晩中 お酒を飲んでました>

玄関前

勝「ほな 行ってきます。」

糸子「行ってらっしゃい。」

「行っちょいで。」

「大将 行ってらっしゃい。」

優子「行ってらっしゃい。」

直子「行ってらっしゃい。」

優子「行ってらっしゃい!」

直子「行ってらっしゃい~!」

木之元「頑張りや!」

優子「頑張ってきてよ~! 行っちょいで~!」

<次の朝 二日酔いの むくんだ顔で 勝さんは 出征していきました>

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