砂川とうふ店
玉代「今日 出発?」
暢子「はい。」
玉代「さみしくなるね~。 元気で頑張ってね!」
暢子「はい! おばさんも元気で!」
玉代「うん。」
智「今日は 金は要らない。」
暢子「まさかやー。 何で?」
智「ほかに 何もしてやれんのに。」
暢子「頂きます! おいしい。 やっぱり ここの ゆし豆腐は 世界一さーね。」
智「もっと食べれ。」
暢子「いいわけ~?」
智「どうしても行くのか? ゆし豆腐 もっとうまく作るから 東京とか行くな!」
暢子「ありがとう。」
智「冗談。 見送りには 行かないよ。」
暢子「うん。」
賢三の墓
暢子「先生。」
史彦「こちらの集落は 清明祭をやるそうですね。」
優子「シーミーといいます。」
史彦「旧暦3月 先祖供養ですよね。」
優子「そうですね。 にぎやかです。 うちの家族の場合は 特に…。」
西山原のバス停
良子「暢子 かわいい。」
歌子「かわいい。」
良子「ちょうちょ結び 曲がってる。」
歌子「暢ネーネー かわいい。」
(笑い声)
(クラクション)
賢吉「来たか。」
(クラクション)
暢子「お母ちゃん 行ってきます。」
優子「元気でね。」
暢子「東京 楽しみ! デージちむどんどんする!」
優子「青柳さん よろしくお願いします。」
史彦「はい。」
史彦「では お世話になりました。」
和彦「さよなら。」
暢子「じゃあね。 バイバイ。」
優子「暢子…。」
賢秀「俺が行く! やっぱり 俺が 長男の俺が 東京に行く!」
優子「賢秀…。」
賢吉「何を言ってる 今更。」
賢秀「だからよ。」
暢子「ニーニー。 うちが行くよ。 うちが東京に行きたいからさ。」
賢吉「迷惑ヤシガ。 急げ!」
暢子「じゃあね。 行ってきます!」
(ドアが閉まる音)
暢子「バイバイ。 元気でね。」
和彦「大丈夫。 僕がついてる。」