風呂場
暢子「ニーニー!」
賢秀「あっ…。」
良子「何してるの?」
歌子「いつからいたの?」
暢子「お金は? お金はどうなった?」
縁側
良子「何で 謝りに行かないわけ? 預けたお金は 戻ってこない。 謝りにも行かない。 それで済むと思ってるわけ?」
賢秀「俺は悪くない。 悪いのは 全部 我那覇さぁ。」
良子「うちらは どうなるわけ? お母ちゃんの借金は? 教師のうちは どうなるわけ? 先生になる夢を かなえるために うちは ずっと頑張ってきた。 ニーニーが 校庭でドッジボールしてる時 うちは 図書館で勉強してた。」
良子「ニーニーが ラジオ聴いて騒いでる時 うちは 耳にちり紙を詰めて勉強した。 ニーニーが 那覇で遊び歩いてる時 うちは アルバイトしながら 短大に通ってた。」
良子「お化粧も おしゃれもしないで勉強して やっと採用試験に合格した時 うちは お父ちゃんのお墓の前で 1人で泣いた。『お父ちゃん 約束守ったよ』って。 だのに 今更 ニーニーのせいで 教師 辞めるようなことになったら…。」
タケヒロ「着きました 着きました。 ここです。」
暢子「お巡りさん?」
タケヒロ「こちらが 比嘉賢秀の自宅になります。」
下地「ここ?」
タケヒロ「賢秀は 歌子の兄。 比嘉家の長男坊です。」
賢秀「ハッ…!」
暢子「はっさ お母ちゃん。」