良子「あれは 誠が授業中 勝手に後ろ向いて…。」
教頭「床に落とした消しゴムを 拾おうとしていたそうです。」
良子「じゃあ 何で その時…。」
教頭「頭ごなしに怒られて 説明する気がなくなった。 お母さんからも『先生の言うことを 聞きなさい』と言われるばかりで 誰にも 相談できなくなって しまったそうです。」
良子「だけど その話は誰から?」
教頭「知念先生に打ち明けたそうです。」
良子「とにかく すぐ話をしてきます。」
教頭「お願いします。」
良子「申し訳ありませんでした。」
知念「良子先生 すいません。」
良子「気にしないで 大丈夫だから。」
比嘉家
優子「お帰り。」
歌子「お帰り。」
良子「ただいま。」
優子「ご苦労さんねえ。 ごはん 支度しようね。」
良子「あっ 大丈夫 おなか すいてないから。」
歌子「晴海 今寝たとこ。 これ 見て。 先生をしてるネーネーって。」
良子「晴海が これを? 先生してるところなんか 見たことないくせに…。」
歌子「何で バナナ持ってるのかねぇ。」
良子「あの子が 好きだからなはずよ。」
歌子「一度 ネーネーが教えてるところ 見せてあげたら? 格好よく先生しているところ 喜ぶはずよ。」
良子「うちは まだまださ。 先生として。 晴海の母親としても 歌子の方が 向いてるかも。」
歌子「ネーネーは すごく頑張ってる。 晴海も それを分かってるから 本当に わがまま言わない いい子だよ。]
歌子「でも 晴海はね 本当は そんなに頑張らなくても ネーネーが大好き。 本当は うちじゃなくて 良子ネーネーに もっと甘えたいんだよ。 晴海 寝てすぐだから 時々 寝言 言うよ。」
良子「聞いてくる。」
優子「歌子 ありがとう。」
スナガワフード
和彦「ただいま。 受け持った分は 全部終わったよ。」
暢子「ご苦労さま。 三郎さんたちも 無事に配達し終わって さっき帰った。」
和彦「そっか。 智は?」
暢子「お医者さんは『睡眠不足で 風邪をこじらせただけで 薬も のんだから 2~3日で治ると思う』って。」
和彦「寝てるの?」
暢子「うん。」
和彦「暢子…。 ごめん この前…。」
暢子「うちの方こそ ごめんなさい。」
和彦「ううん。 考えたんだけど その… 愛とのこと。 僕の迷いというか 悩みというか この もやもやした感情の正体は 多分…。」
暢子「多分…?」
和彦「彼女に対する不信感とか 愛情の薄れではなく 恐らく…。」
暢子「恐らく…。」
和彦「あっ しまった!」
暢子「何?」
和彦「愛が あまゆに来るんだった。」
暢子「何やってる 早く行かないと!」
和彦「うん。 ごめん また!」
智「(寝言)暢子…。」