連続テレビ小説「ちむどんどん」62話「黒砂糖のキッス」

玄関

暢子「あっ…。」

(ドアベル)

暢子「愛さん どうしたわけ?」

愛「…」

暢子「ちょうどよかった。 実は うちも 愛さんに話したいことがあった。」

愛「私に?」

厨房

暢子「どうぞ。 座って。」

暢子「いろいろ トラブルがあって 今夜は やることが山盛りなわけ。」

愛「暢子ちゃんの話って 何?」

暢子「うち…。 和彦君のことが好き。 自分でも ず~っと 全然 気付いてなかったけど 好きって 分かってしまったわけ。 でもさ 諦める。 うちは 多分 生まれて初めて 男の人を好きになって 仕事も 手に着かないぐらいいらいらーしてた。」

暢子「だけど 今日 何も考えられないぐらい忙しくて とにかく 体を動かしているうちに 何でかねえ デージスッキリした感じというか やっと 答えが見つかったというか。」

愛「答え?」

暢子「和彦君は 前から 愛さんのことが好きで 愛さんと つきあっている。 だから 好きだけど きれいさっぱり 諦める。 でも 愛さんに ウソはつきたくないから 全部 言ってしまいたくて…。 困らせるようなこと言って ごめんね。」

愛「すごいね 暢子ちゃんは。」

暢子「すごくないよ。 くよくよしてる時間が もったいないだけさ。 もっと 料理に集中したい。 今日 改めて そう思った。 お店のトラブルのおかげだはずね。」

愛「何があったの?」

暢子「スタッフが 急に 3人もいなくなってから 明日までに この仕込みを やっておかないといけなくて。」

愛「えっ これ 全部一人で?」

暢子「フフッ… うん。」

暢子「どうしたの?」

愛「手伝う。 やらせて。」

暢子「いいよ そんな…。」

愛「手伝いたいの。 これ むくんでしょ?」

暢子「アイヤー 上手!」

愛「ヘヘッ。 女だからって 料理の記事を 担当させられることが多くて いろいろ 覚えちゃった。」

暢子「じゃあ お言葉に甘えて お願いします。」

愛「はい。」

(笑い声)

愛「暢子ちゃんの仕事って 女性は ほとんどいないよね。 大変じゃない?」

暢子「お互いさまさ。 新聞社で アルバイトした時 びっくりした。 大勢の記者さんがいるけど 女性は 数えるほどだったよね。」

愛「うん。」

暢子「愛さん すごいな~って。 それに 女性の料理人は 見たことがなかったけど 今日 初めてオーナーが厨房に入って すごいわけよ。 目の前のことだけじゃなくて いつも 全体が見えていて 料理も指示も 完璧。 うちも いつか オーナーみたいに なりたいさ。」

愛「一つ 聞いてもいい?」

暢子「うん。」

愛「暢子ちゃんにとっての幸せって 恋愛より仕事?」

暢子「正直 何が幸せなのか分からないけど でも 今は 料理の仕事に デージちむどんどんしてる!」

愛「ちむどんどんか…。 私にとっての ちむどんどんって 何だろう…。」

暢子「そういえば 愛さんの話は?」

愛「忘れちゃった。」

暢子「えっ?」

愛「忘れちゃった。」

暢子「えっ?」

愛「あ~ まだあるね~。 あっ 3つだ。」

暢子「まだ あるよ~ ほら。」

愛「あ~! 2箱も残ってるじゃん。」

暢子「まだまだよー。」

(笑い声)

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