連続テレビ小説「ちむどんどん」79話「御三味(うさんみ)に愛を込めて」

青柳家

(ノック)

(ドアが開く音)

波子「奥様 お着換え お風呂場に置いておきました。 では 本日は これで。」

重子「ご苦労さま。 波子さん。」

波子「はい。」

重子「和彦は いい子だった?」

波子「もちろんでございます。 とても物分かりのよい お行儀のよい坊ちゃまでした。」

重子「愛情をかけて世話をして 自分の命よりも 大切だと思いながら尽くしても 大人になると コロッと忘れられて。 あの子が 子供を持ったら どんな親になるかしら。 親になって 初めて分かる 親にならなきゃ 分からないことが たくさんあるのに。 母親なんて… むなしい人生ね。」

波子「そんなこと おっしゃらないでください。 私の人生は 奥様や お坊ちゃまのおそばに いさせていただいたおかげで とても楽しく 充実したものになりました。 失礼いたします。」

重子「ありがとう。 ご苦労さま。 波子さん!」

波子「はい。」

重子「ごめんなさい。 どうかしていました。」

(ドアの開閉音)

重子「それよかなしきわが心 いはれもなくて拳する 誰をか責むることかある? せつなきことのかぎりなり。 『修羅街輓歌』」

東洋新聞
学芸部

和彦「僕はなんでも思ひ出します 僕はなんでも思ひ出します でも、わけても思ひ出すことは わけても思ひ出すことは……『別離』」

青柳家

重子「母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ 母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ 然しその声は、どうなるのだらう?』」

沖縄料理店・あまゆ

重子「たしかにその声は、海越えてゆくだらう? 暗い海を、船ももゐる夜の海を そして、その声を聴届けるのは誰だろう?『子守唄よ』」

暢子「う~ん おいしい! マーサン!」

青柳家

重子「和彦は 渡さない…。」

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