連続テレビ小説「ちむどんどん」98話「青いパパイアを探しに」

山原共同売店

良子「あっ 善一さん 昨日お願いした農家の件 どんなでした?」

善一「あ~ ごめん 言いに行こうと思ってた。 断られてしまった。 どこも 年寄りが多くて 新しいことをやるのを嫌がって。」

新垣「学校の給食用となると 責任が 大きくなるからねぇ。」

良子「農家を紹介してもらえませんか? 私から 直接お願いしてみます。」

善一「何で そこまで?」

良子「復帰して だんだん マイカーを持つ家が増えて この辺りでも 町のスーパーで買った 野菜を食べるおうちが 多くなりました。 スーパーは便利だけど 子供たちが 地元の野菜を使った料理を 食べることが 少なくなったんです。」

良子「だからこそ 給食を通して もっと子供たちに このやんばるの ふるさとの味を知ってもらいたいんです。 私にできることは 何でもやります。 お願いします。」

善一「それは まあ 力には なってあげたいけどね…。」

居酒屋・珊瑚礁

智「比嘉歌子っていう 俺の幼なじみの子で デージ歌のうまい レコード歌手の卵がいるんですけど。」

店主「レコード歌手の卵?」

智「このお店で 歌わせてやってもらえませんか?」

店主「それは 歌手の卵が歌ってくれたら お客も喜ぶと思うけど その女の子 チュラカーギー? 美人?」

智「チュラカーギーです。」

店主「ああ… だけど うちには お金まで払う余裕は…。」

智「お金は 要りません。 歌わせてもらえるなら うちの野菜も サービスしますから。」

比嘉家

歌子「何で うちに?」

智「知り合いが 唄三線できる人 探してて ギャラも 前払いで払うって。 もう もらってきたさ。 アリ。」

歌子「うちには無理。 これは返してきて。」

智「そう言わずに 頼む。 大事な取引先で どうしても断り切れないわけ。 俺の顔を立てると思って。 頑張れ。」

歌子「うん…。」

智「うん。」

山原小中学校

良子「ありがとうございます。 栄養士さんに そう言っていただけると助かります。 仕入れ先が見つかったら すぐに連絡しますので 引き続き 相談の乗ってください。 私は 諦めません。 失礼します。 ふぅ~…。」

(足音)

良子「どうしたんですか? こんな時間に。 ん?」

安室「うちの親戚と友達。 この人たちは 給食用に 野菜を提供してもいいって 言ってくれてる。」

良子「頼んでくれたんですか?」

安室「世間話のついでに ちょっと話しただけさぁ。」

良子「だけど… そんな簡単に受けてくるはずが。」

安室「いちいち うるさいよ! 大事な給食を あんただけに 任せられんからねぇ。」

良子「ありがとうございます。」

安室「あとは あんたの仕事。 その人たちの気が変わらんうちに 連絡しなさい。」

良子「はい すぐに連絡してみます。 本当に ありがとうございます!」

安室「あんたのためじゃない。 子供たちのためヤサ。」

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