夕食後
恵里と恵達の部屋
恵里「恵達。」
恵達「ん?」
恵里「ずっといるのかな? 兄い兄いは。」
恵達「どうかね。」
恵里「いればいいのにね。」
居間
恵尚「酒 弱くなったね おやじさんも。」
勝子「でも 今日は よく飲んだね。 お父さん うれしかったのよ。 酒の相手がいないからね うちには。」
恵尚「そうか…。」
勝子「恵尚…。」
恵尚「ん?」
勝子「なんか困った事でもあるの?」
恵尚「困ったこと? ないよ そんなん。 何 言ってるの?」
勝子「それなら いいんだけど。 お金なら ないよ うちには。」
恵尚「だから そんなの違うって!」
勝子「なら いいんだけど…。」
恵尚「久しぶりに皆の顔 見たくってさ 帰ってきただけさ。」
勝子「そう?」
恵尚「うん…。 やっぱり うちはいいね」
ハナ「ずっといればいい お前の家だ。」
勝子「そうよ…。」
恵尚「でも俺は 人生の旅人だからね。」
ハナ「ばかたれ!」
恵尚「痛いよ! おばぁ!」
恵尚「ずっと いようかね…。」
農連市場
勝子「どうしたの? 気持ち悪いさ。」
恵尚「人が 手伝ってるのに『気持ち悪い』は ないんじゃない!」
勝子「でもさ…。」
恵尚「いらっしゃい! 買っていかんね! 安くするよ 新鮮だよ!」
恵尚「この仕事って いくらくらいになるの?」
勝子「たいした事はないね。 ひと月で 5万円か6万円くらいかな。 家賃 払ったら小遣いも残らないさ。」
恵尚「生活していくのって大変だね。 おやじも余り 稼ぎよくなさそうだしさ。」
勝子「まあね。」
配達途中の恵尚
女1「これ何? イボイボ 野菜?」
女2「うん ゴーヤーだって。」
女1「昨夜 食べた 苦いやつ?」
女2「そうね あれ。」
女1「でも何か かわいいよね?」
女2「かわいいね。」
2人がその場を去った後ゴーヤーを手にする恵尚
恵尚「かわいいか? これが? 分からんね やまとの人間の感覚は? かわいいかね?」
危険です この男が こんなふうに 何かを思いつく時 それは…
恵尚「いけるな これは…。」
とっても危険なのです
島袋製作所
恵尚「ハイサ~イ! 正一いるね?」
工員「は?」
恵尚「島袋社長…。」
島袋「恵尚? 古波蔵恵尚!」
恵尚「そうさ 正一!」
島袋「久しぶり!」
恵尚「久しぶりだな!」
島袋「高校卒業以来か?」
恵尚「そんなになるか?」
島袋「何しに来た?」
恵尚「ちょっと 教えてもらいたい事があってよ。」