連続テレビ小説「あまちゃん」23回「おら、ウニが獲りてぇ」

アキ「『東京 原宿 表参道』。 すげえ。 これ 全部 ママが書いたの?」

春子「そう。」

アキ『愛羅武… 勇』? 勇って誰・」

春子「『愛羅武勇(アイラブユー)』って読むの。」

アキ「へえ~。 これは?」

春子「うん? これはね…。 何?『舞 蹴 蛇』? マイケルジャクソン。 ハハッ どうかしてるよね。 田舎 大っ嫌いだったからね。」

アキ「『海 死ね ウニ死ね』。 ホントだ。」

春子「あんたと正反対だね。」

アキ「うん。 …っていうか ユイちゃんみたい。」

春子「へえ~ あの子 そうなんだ。」

アキ「うん。 卒業したら 東京行くんだって。」

春子「ふ~ん そっか まあ そんな感じだね。 あんたは?」

アキ「えっ?」

春子「東京 戻りたいとか思わないの?」

アキ「うん。 今んとこ平気。」

春子「よかった…。」

アキ「えっ?」

春子「えっ?」

アキ「『よかった』って どういう意味?」

春子「知らないし…。 言ってないし『よかった』なんて 何 言ってんの?」

アキ「待ってよ 春ちゃん!」

春子「はっ!? 春ちゃん!?」

アキ「だって… ママって呼んじゃ いけないんでしょ?」

春子「アハハッ バ~カ。」

アキ「ウフフッ。 春ちゃ~ん!」

春子「やめてよ! 生意気!」

アキ「アハハハッ!」

天野家

春子「あ~ そうだ。 いい事 教えてあげようか。 昔ね おばあちゃんに 潜り教わってる時に言われたの。 長~く 深く潜るために 必要なものって何だと思う?」

アキ「何? 何 何!?」

春子「ヒントは呼吸に関する事。」

アキ「呼吸? あっ 分かった エラ。 エラ呼吸。」

春子「エラのある人間は いません。 人間の体の中で 一番酸素を使うのは 脳みそなんだって。」

アキ「へえ~。」

春子「脳みそを使えば使うほど 考えれば考えるほど 酸素を必要とするんだってよ。」

アキ「…つう事は 脳みそを使わなければ 長く潜れるって事か。 何だ だったら 得意中の得意だっぺ。 脳みそ 使わなきゃいいんだべ。 楽勝だべ! ハハハッ。」

春子「…。」

朝食

夏「春子さん 朝御飯ですけど!」

夏「先に食うべ。 頂きま~す!」

アキ「頂きます。」

夏「何だよ。」

アキ「私 本気獲りさ行ぎでえ。 船さ乗って 沖さ行っでみでえ。」

夏「なして?」

アキ「安部ちゃん 明日で終わりなんでしょ? 思い残す事なく 引退できるように 安部ちゃんが いなくても ウニ取れるってとこ 見せてやりでえんだ。 駄目?」

夏「駄目だ。」

アキ「なして?」

夏「本気だからに決まってっぺ。」

アキ「そっか…。」

夏「それでも行きてえのなら 勝手にしろ。」

アキ「えっ いいの!?」

夏「来んなっつっても来るんだべ。」

アキ「うん。」

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