漁協
長内「そりゃあ駄目だ。」
アキ「なして!?」
かつ枝「あのなあ アキ いつもの実演と違って 本気獲りには 漁業権が必要なんだ。」
アキ「…漁業権?」
安部「海さ潜って 漁していいよっていう権利。」
かつ枝「その漁業権は 一家で一人にしか 認められてねえんだ。」
アキ「えっ 何で?」
長内「乱獲防止だ。 ウニも大事な資源だからよ。 なんぼでも 取っていいって事になると いねぐなるべ。」
かつ枝「つまり アキちゃんが行くって事は 夏ばっぱ 行げなぐなるって事なんだよ。」
アキ「じぇじぇ…。」
夏「おはよう~。」
長内「お~ 夏さん 今 ちょうど アキから 話 聞いたとこだ。」
夏「あ~ そういう訳で 今年は 天野家からは アキが エントリーしますんで。」
安部「夏ばっぱ いいの?」
夏「何が?」
安部「だって アキちゃんは まだ…。」
<9月30日は 海女の口開けといって 北の海女にとって 最も重要な日です。 7月1日の海開きから 3か月間 観光海女として サービスに徹してきた海女が この日だけは 自分と家族のために 漁をしてよいのです>
北鉄
ヒロシ「そっか。 じゃあ 頑張んなきゃだね。 俺も ビデオカメラ持って 応援行くから。」
アキ「やめでよ! ただでさえ プレッシャーで押しつぶされそうなのに。」
ヒロシ「仕事だよ! アキちゃんとユイ 撮影するのは。」
アキ「そっか。」
ヒロシ「巻き込んじゃって ごめんね。」
アキ「え?」
ヒロシ「俺が 君のビデオを ホームページに アップしたばっかりに 大騒ぎになって…。」
アキ「いやいや お構いなく。 お客さん増えて みんな 喜んでますから。」
ヒロシ「そっか…。」
アキ「ストーブさん 電車 出ちゃうんで。 急ぎに用事じゃなかったら また 日を改めて…。」
ヒロシ「心配なんだ! アキちゃんの事が!」
アキ「いや だから お構いなく。 自分でも分かってるし ちやほらされんのは 今のうちだけだって。 女子高生の海女なんて珍しいから 一時的に騒がれてるだけだし。」
ヒロシ「そんな事ないよ!」
アキ「え?」
ヒロシ「ごめん。 自分で まいた種なんだけど 君の人気が出て うれしい反面 何か その… 君が遠くへ 行ってしまったような気がして。」
アキ「どこにも行きませんよ。 学校と浜の往復ですよ。」
ヒロシ「いや 実際の距離の話じゃなくて 気持ちの距離…。」
アキ「気持ちの… 何?」
ヒロシ「…っていうかさ お母さんから 何も聞いてない?」
回想
ヒロシ「アキちゃんの事を 好きなったの 俺が 1番っすから! 俺が ファン第1号っすから!」
回想終了