連続テレビ小説「あまちゃん」41回「おらのママに歴史あり」

天野家
居間

長内「水くせえべ 忠兵衛さん。 おらと あんたの仲でよ。 不満があったら 言ってけろ。 おらが スーパーさ行って 話つけっからよ。」

大吉「なんぼ 仕事が面白くねえったって 黙って帰るのは いぐねえべ。」

夏「本当に 皆さん ご迷惑をおかけしました。」

忠兵衛「悪いのは俺だ おめえが謝る事はねえべ。」

夏「何 言ってんだ。 皆さん心配して 集まってんだよ。」

かつ枝「んだ んだ 責任感の強(つえ)え 忠兵衛さんが 何か 訳があっての事だべ。」

忠兵衛「訳なんか ねえべ。 ただ 足が スーパー通り越して パチンコの方さ 向いただけだ。」

かつ枝「なして!?」

忠兵衛「う~ん…。」

長内「仕事 きつかったか?」

忠兵衛「いやいや むしろ反対だ。 う~ん 楽すぎるのが問題で。」

大吉「職場環境が いぐねがったか。」

長内「人と顔合さねえ 仕事もあるべ 監視小屋でも 市場でも…。」

忠兵衛「いや… んだから 違うんだって!」

かつ枝「少し止んでもらったら どうだい? 無理して 稼ぎさ出なくても 蓄えは あんだべ?」

夏「いや 休みてえ訳ではねえんだ。 むしろ 反対だ。」

かつ枝「何だ さっきから『反対 反対』って。」

夏「早(はえ)え話 忠兵衛さん あんた 船さ乗りてえんだべ。」

春子「お母さん。」

夏「顔見てたら分かる。 あんた 海 恋しくなったんだべ。 マグロ船さ乗って 沖さ出たくなったんだべ。」

忠兵衛「んだなあ…。」

一同「じぇじぇじぇじぇ!」

忠兵衛「さすが 夏さんは お見通しだ。」

夏「何 言ってんだ。 何年 夫婦やってると思ってんだ。」

春子「ちょっと 駄目よ。 絶対駄目よ お父さん!」

大吉「んだ。 第一医者に止められてんだべ?」

忠兵衛「まあ 心臓のあんばいは いぐねえ。」

夏「精密検査した方がいいって…。 長期の漁さ出たら 命の保証は しかねますって。 はっきり言われた。」

忠兵衛「それだけが理由じゃねえが 俺も年だしよ。 じじいだし。 ここは おとなしく 隠居するべって 一度は思ったんだが…。 ハハハ… 漁師の血がうずいて ハハハハッ!」

黒川「いや でも 一度 ちゃんと調べた方が。 何なら 僕 いい病院探しますよ。」

忠兵衛「うるせえ! おらの体は おらが 一番 分かってんだ! いや いや いや… 違うんだって。 船さ乗ってる方が 体も問題ねえんだよ。 気も張ってるから。」

忠兵衛「むしろ スーパーで ちんたら働いてたら 何だか 糸が切れたみてえになって。 この上 温泉だの入ったら 身も心も緩んでしまって 二度と立てねえべ。 そんな訳で 組合長 もともと っこっちから頼んで 回してもらった仕事だけども 今日限り 辞めさせてもらう。」

春子「(小声で)ちょっと おばあちゃん 見てきて。」

長内「そりゃあな 忠兵衛さんが そう言うなら 構わねえが 辞めて どうすんだ?」

大吉「沖さ出んのか?」

忠兵衛「う~ん…。」

かつ枝「いいのか? 次の航海は インド沖だぞ。」

春子「どうなの? お母さん一人残して 行くの? 生きて帰ってこれないかも しれないんだよ!」

かつ枝「それは 大げさだべ。」

春子「行くのは勝手だけどさ 温泉くらい つきあってあげなよ。」

忠兵衛「いや 別れが つらくなるじゃ。」

作業場

アキ「ばっぱ 大丈夫か?」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク