喫茶・リアス
弥生「はいはい はいはい! ユイちゃん 全体的に強弱をつけましょう。 特に ♬『来てよ この川 乗り越えて』これが 一番の盛り上がりだから! はい。」
アキ♬『乗り越えて』
弥生「ユイちゃんに言ってんだ。 アキは逆に もっと抑えろ!」
春子「あとね 白目むく癖 今のうちに どうにかしなさい。 怖いんだからね 見てる方は! あんなのテレビで使えませんよね?」
池田「そうですね。 ギリギリ アウトですね。」
弥生「ほれ 頭から もう一回いくぞ! 音楽!」
<その後 連日 歌の練習は続きました。 弥生さんの気合とは裏腹に アキは一向に成長せず ユイは どこか集中できずに いました>
弥生「ユイちゃん ここ!」
♬『来てよ その川 乗り越えて』
弥生「アキじゃない!」
♬『三途の川の マーメイド』
北三陸駅
ユイ「はあ~ 難しいね。」
アキ「うん。」
ユイ「うまく歌おうとしちゃ 駄目なんだよな きっと…。 でも 下手すぎても寒いし…。 はあ ホント難しい。」
アキ「うん でも楽しみ!」
ユイ「楽しみ?」
アキ「だって 動いてる電車の中で きれいな景色見ながら 御飯食べたり 歌ったりするんでしょ?」
アキ「絶対 楽しいじゃん。 種市先輩も 見に来ればいいのにな~。」
ユイ「アキちゃん…。」
アキ「東京なんか行かなきゃいいのに。 でもね 必ず帰ってくるって 先輩。 ここが好きだから。」
ユイ「あのさ アキちゃん。」
アキ「うん?」
ユイ「遊びじゃないんだよ! アキちゃんにとっては 青春の1ページっていうか 高校生活の思い出作りなのかも しれないけど 私にとっては スタート地点だし! 大事なチャンスなんだ! 真剣にやってくんないと 困るんだ!」
アキ「ごめん…。」
ユイ「こっちこそ ごめん。 何か熱くなっちゃった。 あ~ なし なし。 今のなし。 何か ストレスっていうか プレッシャーに弱いの。 足引っ張んないように頑張る。」
アキ「おらも頑張る。」
ユイ「ごめん…。 私 嫌な奴だ…。」
大吉「どうした?」
アキ「何でもない! 何でもないです。」
大吉「もうすぐ 宮古行き出るから。」
ユイ「ごめん 一人になりたいから 先帰って。」
アキ「うん。」
<ユイを怒らせてしまった。 たった一人の親友を 怒らせてしまった。 アキには その原因が分かりませんでした>
<ひょっとして グループ名を変えたから?>
天野家
玄関前
アキ「気に入ってたもんなあ JJガールズ。」
回想
ユイ「JJガールズは見てのとおり『じぇじぇ!』から きてるんだけど…。」
ユイ「あっ そうだ! 決めポーズも考えたの。 右手を高く上げて 左手の肘を曲げて…。 ほら『J』の形!」
回想終了