連続テレビ小説「あまちゃん」54回「おらの大失恋」

漁協

花巻「『潮騒のメモリー』のメモリーだな。」

アキ「え?」

花巻「何でもねえ。 まめぶ汁食え。」

アキ「みんな何してんの?」

夏「はよ こっち来い! 海女クラブのミーティングだ。」

アキ「ミーティング?」

夏「うん。」

かつ枝「あのな 素朴で愛嬌たっぷりの おばちゃんたちが 酒の力借りて どす黒い欲望をさらけ出す会合さ。」

(笑い声)

弥生「かなり 下世話な話もするが いるならいろ! な!」

アキ「はい!  …つううか。」

水口「あ お邪魔してます。」

美寿々「彼はいいべ? 無口だし 琥珀にしか興味ねえから。」

夏「いいんでんえか?」

かつ枝「いいか! とにかくな 今年の夏は 空前の海女ブームが到来すると おら 踏んでる訳よ。」

美寿々「またまた! かつ枝さん 大げさな!」

かつ枝「いやいや 大げさでんねえ。 あのなアキがテレビさ出た おかげで 予約申し込みの電話が一日20件は くるべ!」

一同「わ~!」

長内「4月の段階では 異常だべ!」

花巻「旅行代理店からも ツアー組みてえって 問い合わせあった。『海女と北鉄と まめぶと 琥珀と 発泡酒と私』みてえなツアーだと。」

長内「琥珀は恐らく言ってねえが 注目されてる事は 事実だべ。 夏ばっぱ!」

夏「ん?」

長内「いっときブームに 終わらせないためにも 観光名所として 恥ずかしくない 設備投資を!」

夏「確かに いつまでも ウニ1個 500円で浮かれてたら 海女の未来は ねえべ。」

長内「うん そのとおり!」

夏「去年の夏も お客増えたっていうのに おらたちの取り分は なんぼ取っても 変わんねえ!」

かつ枝「んだ んだ!」

長内「ちょっと 論点ずれてきたど!」

弥生「ウニ1個につき 漁協さ200円 観光協会さ 200円も取られたら やってらんねえ!」

かつ枝「あ~!」

水口「それ 搾取し過ぎでしょう。」

美寿々「こっちはな 命懸けで潜ってんだ! 100円じゃ やってらんない!」

弥生「不正だ! 絶対不正だ!」

花巻「本性 出てきたぞ!」

長内「いやいやいやいやいや! 海女クラブの維持費も 運営費も そごから 出てる訳だがらね!」

弥生「ウニの値段を 高くするか おらたちの 取り分ば 増やすか 二つに一つだ このずるむけじじい!」

長内「いやいやいや! あの ちょっと これはな 観光協会に相談せねば! かつ枝 かつ枝!」

かつ枝「いやいやいや! あのな 海女の稼ぎはな 海女クラブに 還元すべきだべ!」

弥生「まず 金の流れを明確に 儲け話は それからだ!」

夏「アキ アキ! おめえ どう思う?」

アキ「どうって おら まだ一個しか 取ってねえし。」

水口「え?」

美寿々「そうなの 夏の終わりに 一個取ったきりなの。」

水口「あ だから あんなに 喜んでたんだ。」

回想

アキ『やった~! 取れた!』。

回想終了

弥生「去年の年収 100円だもんな。」

(笑い声)

アキ「陸さいて みんなが潜ってるの 見てる方が多がった。 それで思ったんだが 海女さんが潜ってる間 お客さんが くつろげる場所が あったらいいなって。」

一同「ん?」

アキ「待ってる間 意外と暇だべ! だがら ほかに何か 食べる物売ったり。」

夏「あ それいい! 海の家みてえなもんか?」

アキ「海の家でもいいが それだと 夏の間だけしか 営業できねえから。」

夏「う~ん。」

アキ「カフェ?」

かつ枝「あら?」

アキ「んだ! 海の見える 眺めのいいカフェがあったら 夏場だけでなく 冬場も カップルが来るべ! いぐねえ? 海女カフェ いいべ!」

かつ枝「カフェか?」

夏「いやいや! 下唇かまねえどな。 カ… フェ!」

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