回想
春子「大吉さん…。」
大吉「え?」
春子「電車来る。 電車来る! 時間! 電車来る 電車来る! 危ない!」
回想終了
大吉「まんざらでもねえって感じだっだ。」
弥生「でかしたぞ! でかしたぞ 大吉!」
かつ枝「春ちゃんが潜ってくれだら これ以上 明るいニュースは ねえもんな!」
大吉「あっ! そっちの話か…。」
一同「うん?」
アキ「ママが? 海女さんになるの?」
かつ枝「なってくれだら まんず 後継者不足も解消するべって話。 なっ?」
弥生「若い連中が 春ちゃんのフォ…。 フォ… フォ… フォ…。」
大吉「フォロワー?」
弥生「フォロワーが ついてくれたら 言う事なしだべ!」
あつし「いや 確かにな~ これ。 客を集めるには これ 海女の若返りは必要だべなあ。」
アキ「そんなに お客さん来ないの?」
海
安部「これから潜ります! 美寿々さん ちょっと待っで!」
かつ枝『若手つったって 美寿々だって 50だべ。 若え頃はな 東京から追っかけが 来るぐらいの 人気者だったけんど 一時休業して 復帰してからは 冷え性で…。』
老父「おかあさん おかあさん 海女さんが来たよ。」
美寿々「しゃっこい しゃっこい…。 取れたてのウニ… 来ました。」
老父「うわ~ おいしそう!」
美寿々「あ~ しゃっこい しゃっこい!」
老父「もう おなか いっぱい!」
安部「えっ?」
老婦「あの この人 ウニは お医者さんに 止められてるんですよ。 痛風で。」
老父「ええ そんなんですよ。」
安部「じゃあ まめぶ汁でも!」
老父「どうも ありがとうございます。」
老婦「おとうさん…。」
喫茶・リアス
弥生「最年少の安部ちゃんも 漁協と掛け持ちで 頑張っちゃいるが いかんせん 地味だ。 だが どうせなら 若者に バトを渡してから 引退してえ!」
かつ枝「ここで 辞めだら 北の海女は絶滅する!」
弥生「あ~ 悔しい~! 酒けろ! 酒! あど ピス… ピスピス…。 ピス! ピスピス…。 ピストル?」
大吉「ピスタチオだべ! 弥生さん 今日は どうした? いつもは もうちょっと しゃべれるべ!」
弥生「あ~!」
勉「琥珀は どうだ? 海女と違って 年取らねえ。 もどもど 8,500万年前の 樹液の化石だからな…。」
大吉「勉さん みんな 真面目に考えて 意見言ってんだ。」
勉「おらだって 真面目に琥珀を…。」
大吉「琥珀の時代は来る! 勉さん 琥珀も必ず来るから 待ってろ! 8,500万年も待ったんだがら あと2~3年 待てるべ!」
勉「はい。」
大吉「…ったく。」
<大人たちの話を聞いて アキは これが 過疎の町の実態なんだと 改めて感じました>