連続テレビ小説「あまちゃん」65回「おら、アイドルになりてぇ!」

天野家

春子「大げさな… ちょっと当たっただけじゃん。」

磯野「いや いや いや! なかなかの闘魂注入でしたよ。」

長内「よく 顎 外れねがったな。」

春子「たたいた事は… 悪かった。 ごめん。 でも ママ 絶対に許さないからね。 あんな チャラチャラしたの。」

アキ「ただのチャラチャラじゃねえ。 おらなりの考えがあって チャラチャラしてだのだ。」

春子「どんな考えよ 言ってごらんなさいよ。」

ユイ「私を家から出そうと思って…。 そうだよね? 水口さんの件で 私が ふさぎ込んでたから…。」

春子「ユイちゃん黙ってて アキに聞いてんの。」

アキ「もともと ユイちゃんが デビューして 売れで 帰ってきて 凱旋公演やるために造った ステージだけど…。」

ユイ「『家から出なきゃ デビューできないよ』って…。」

アキ「ユイちゃんに 早く元気になってほしくて。」

春子「それだけ?」

アキ「えっ?」

春子「だったら ユイちゃん一人で いいじゃない。 あんたまで 一緒になって 歌う必要なかったじゃない。」

アキ「それだけじゃ… ねえ。」

一同「ん? 何 何?」

春子「言いなさい 怒んないから。」

アキ「おらも 歌うの好ぎだから。 歌って『わ~ わ~』言われんの 気持いいがら。 最初は ただ 海女の恰好して 電車さ乗って 弁当売ってた頃は 何が おもしれえのか 分がんねがった。」

アキ「何もしてねえのに 写真バシャバシャ撮られて…。 だけど お座敷列車で ユイちゃんと歌って とにかく楽しがった。」

回想

♬『来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー』

回想終了

アキ「あん時の お客さんの笑顔や 声援が 忘れられねくて ありがとう ありがとうって…。 来た時よりも 確実に元気になって帰っていく お客さんの顔が忘れられねくて…。 それは でも 海女やってる時がら 感じてた事だ。」

アキ「潜って ウニ取って ウニむいで お客さんに喜んでもらう。 んだ。 サービス業だ! 海女も アイドルの 一生懸命サービスして お客さんに喜んでもらうのは 一緒だって おら 気付いたんだ。」

春子「…で?」

アキ「『…で』?」

春子「さっき言ったよね『自分なりの考えがあって チャラチャラしてるんだ』って。 何よ? どんな考えよ。」

アキ「おら アイドルになりでえ! アイドルになりでえ! 歌って 踊って 潜って ウニ取って 上がって 食わせる! そんな アイドルになりでえ!」

頬を叩く春子

大吉「春ちゃん!」

ヒロシ「春子さん!」

ユイ「おばさん。」

春子「おばさんじゃない! いつ どんな時も 私は 誰のおばさんでも ありません。」

アキ「(泣き声)」

春子「泣くな!」

アキ「たたくから 泣くんだべ! 一日2回も!」

春子「たたかれるような事 言うからでしょう。」

アキ「何が!?」

春子「だって… バカじゃん! 歌って 踊って 潜って ウニ取って食わせる アイドル!?」

アキ「歌って 踊って 潜って ウニ取って 上がって食わせるだ!」

春子「同じよ!」

アキ「同じじゃねえ! 海から上がんねえと 息 続かねえべ。 潜りっ放しじゃ それこそ バカだ!」

アキ「(泣き声)」

春子「泣くな! この子ね バカでしょ? バカなんですよ。 将来の事 真剣に考えろっつってんのに!」

アキ「考えたべ。」

春子「考えた結果が バカすぎるっつってんのよ! ねえ 先生?」

磯野「ええ ヘヘヘッ。 潜水土木科の担任としては やはり 南部もぐり的な要素も 入れてほしかったですね。」

春子「…え?」

磯野「あの~ 歌って 潜って え~ 足場組んで 2人1組で作業するアイドル…。 あ~!」

春子「待ちなさい アキ!」

アキ「バカって言う方が バカだ! バカ!」

ユイ「アキちゃん!?」

アキ「ママなんか嫌い。 大っ嫌い!」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク