天野家
アキ「ただいま!」
夏「ああ 寝るとこだった。 アキ…。」
アキ「いいよ 寝てなよ。」
夏「大丈夫だ 御飯にすっか?」
アキ「ウニ丼で いいよ。」
夏「食い飽きたべ。」
アキ「いい ウニ丼がいい。」
夏「アキは ホントに 手のかかねえ いい子だな。 ああ!」
アキ「疲れた?」
夏「ああ 大丈夫だ。 おらと かつ枝と 美寿々 潜りっ放しだからな。 脚が パンパンだ! ああ 明日も団体さん 3組だ。」
アキ「大変だね。」
夏「何だ? ひと事みてえに。」
アキ「ごめん。」
夏「アキの おかげだ。 毎日 大盛況でよ。 うれしい悲鳴だ。 アハハ!」
<北三陸に来て 1年と1か月 ついにアキが この地を去る日が やって来たのです>
回想
夏「ウニ食うか!」
アキ「かっけえ~!」
♬『あの娘(こ)はいつも 歌ってる』
アキ「東京さ 帰りたくねえ! ここで ばあちゃんや ママや みんなと暮らして 毎日 海さ潜りてえ!」
安部「アキちゃん! 取れた? おう!」
(笑い声)
安部「取った! アキちゃん ウニ取った!」
回想終了
アキ「夏ばっぱ。 もう一個 もらっていい?」
夏「…。」
アキ「ばっぱ?」
夏「(いびき)」
北鉄
アキ「(泣き声)」
(車両の走行音)