連続テレビ小説「あまちゃん」75回「おら、奈落に落ちる」

回想

<1984年(昭和59年)夏 おらのママこと 天野春子さんは 上野に降り立ちました>

<素人参加型のオーディション番組『君でもスターだよ!』に 出場するためです>

(拍手)

司会者「はい! 7組のチャレンジャーは東北ブロックから 岩手県北三陸の高校生 天野春子君です!」

アシスタント「歌は松田聖子さんの『風立ちぬ』。」

♬『風立ちぬ 今は秋 今日から私は 心の旅人』

<いける。 ママは手応えを感じたそうです。 歌いだしのリズムも高音の伸びも 申し分ない>

♬『すみれ ひまわり フリージア』

チャンピオン♬『Wind is blowing from the Aegean 女は海 好きな男の腕の中でも』

<チャンピオンの歌を聴いた時 ママは勝利を確信しました。 唯一 不安な事があるとすれば 審査員長のヘッドホンのコードは 拭けてる>

チャンピオン♬『Wind is blowing from the Aegean 女は恋』

司会者「お待ちかねの結果発表! スイッチ オン!」

♬~(ドラムロール)

司会者「62対38で チャレンジャー 天野春子君の勝利!」

(拍手)

春子「やった!」

アシスタント「チャピオン無念! 9週で敗退です!」

<結果は圧勝。 ママは見事 第135代目チャンピオンの栄冠に 輝きました>

司会者「さあ 新チャンピオンの天野春子君 来週も勝ち抜けるのか!? …と言いたいところですが ここで悲しいお知らせがあります。」

春子「え?」

司会者「実は『君でもスターだよ!』は 本日の放送をもって 終了となります。 7年間ありがとうございました!」

春子「ええっ!?」

アシスタント「来週から この時間は『ものまね 君でもスターだよ!』と題しまして 装いも新たに スタート致します。」

<突如 告げられた 番組の打ち切り。 ママは天国から一転 奈落の底へと突き落とされました>

春子「私って どうなるんですか?」

プロデューサー「まあ 幻のチャンピオンってとこだよね。」

春子「え~ あの 困るんです! 困ります ホントに! あの…。」

プロデューサー「ものまね できる? 伊代ちゃんとか。」

春子「ものまね ちょっと できないんです。」

プロデューサー「だよね。 フフフッ。」

荒巻「ちょっと待って下さいよ。」

プロデューサー「しつこいな…。 ねえ ものまね できないの?」

荒巻「こう見えて 僕 トシちゃんのバックで 踊ってるんです。」

プロデューサー「知らねえよ ものまね番組だよ? ものまね できなかったら クビ。」

荒巻「ああ…。 ものまね ものまね…。 あっ ごめんなさい。 すいません。」

春子「ありがとうございます。」

荒巻「ものまね…。 ものまねなんか できないよ。」

春子✉『その人が ママの運命を 変える事になるとは その時は 思いもしませんでした』。

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