古山家
(戸の開閉音)
裕一「ただいま~!」
華「お帰り~。」
音「あっ…。 ごめん。 そんなことまで やってもらってしまって。」
華「大丈夫。 もう終わるし。」
音「ありがとう。 あとは お母さんがやるから。 ねっ もう大丈夫だよ。 はい ありがとう。 ほら 手 洗っちゃって。」
関内家(吟)
吟「へえ~。 音も 頑張っとるじゃん。」
華「練習 忙しそうだから 家事 手伝うって言ってんのに 全部 自分でやろうとすんだよね。」
吟「いいじゃん 楽できて。」
華「私 頼りにされてないってことだよね。」
(戸の開閉音)
ケン「ただいま!」
2人「お帰り。」
ケン「華ねえちゃん。 今日 何 作ってんの?」
華「鬼まんじゅん。」
ケン「やった!」
吟「こ~ら! ちゃんと 手 洗いなさい。」
ケン「は~い。」
吟「そうだ… 華ちゃん 例の野球少年とは どうなったの?」
華「別に。 向こうは こっちのこと 友達としか思ってないし。」
吟「好きなら 取りにいかなくちゃ!」
華「関内家の女の人たちって… 何か 強いよね。」
吟「そう?」
華「うん!」
吟「う~ん…。」
華「フフフ。」
古山家
半月後 音のオーディション 二次審査の日がやって来ました。
音「♬『(発声練習)」
華「おはよう!」
音「(高い声で)はい お弁当!」
華「今日ぐらい 自分でやるのに。 大事なオーディションなんでしょ?」
音「そういうわけには いかないの。」
裕一「(ため息)華もさ もう子どもじゃないんだから 少しぐらい 甘えたら?」
音「それは いけません。」
裕一「何で?」
音「昔 華に聞かれたことがあるの。 お母さんは 私のために 歌をやめたのかって。」
回想
華「私のために… 歌をやめたの?」
音「そうじゃないって証明したい。 母親の仕事と やりたいことは 両立できるって。 華のためにも頑張りたいの。」
裕一「そっか。」