団子屋
関内家では毎週木曜日、銭湯に行き、団子屋に立ち寄るのが習わしでした。
音「投票結果が出た時の先生の顔見せたかった」
吟「どんな顔?」
音「こんな顔」
吟「あの堅物先生をやっつけるなんて流石、音」
光子「吟、いい加減にしなさい?ん?」
音「お父さん、お母さん、学芸会見に来るでしょ?」
安隆「ああ、絶対行く」
吟「そんで、あんた何やるか決まったの?」
音「うん、多分かぐや姫」
梅「本当?」
音「だって、友達みんな音しか居らんって?選ばれると思う」
吟「あんたにあんな、おしとやかな役が出来るわけがないじゃん」
音「出来るもん!」
音「みたらしもう1本!」
梅「かぐや姫?太っとったらマズイんじゃない?」
音「や、止めた・・・」
関内家
梅「ちゃんと読んどったほうがいいよ主役やるんだったら」
音「ありがとう」
翌日の昼下がり
光子「ご苦労様。お菓子置いときますね」
安隆「みつ?音、忘れとらんか?今日?」
光子「それがねー」
翌日の役決めで先生が配役を決めてしまい音はかぐや姫には選ばれなかったのだった
安隆「どうした?なんかあったのか?」
音「選ばれんかった・・・かぐや姫。先生が勝手に決めた」
安隆「で、音は何役だ?」
音「おじいさんその2」
安隆「おじいさんその2?」
音「学校のみんなも私がいいって言ってくれたんだよ。だから・・・」
練習していたかぐや姫を演じる音
音「せっかく、梅がくれた竹取物語、一生懸命読んだのに」
安隆「おじいさんの役は嫌か?」
音「嫌だよ、だって「これは何とかわいい子じゃ」って、それだけだよセリフ。それかぐや姫関係ないじゃん。桃太郎でも使えるよ」
安隆「そうだな、ほいでも音がかぐや姫だったら、おじいさん役は他の人がやるんだよな?その人が嫌々演じとったらどう思う?」
音「ちゃんとしてって思う」
安隆「だろ?人にはみんな役割がある、誰もが主役をやれるわけじゃない。だけど主役だけでもお芝居は出来ん、必ずそれを支える人が居るんだ」
音「そんでも、私は」
安隆「今回は残念だった。だけど。なんの役だろうとお父さん楽しみだよ」
音「ウソばっか」
安隆「本当。あっ、もうこんな時間だ」
安隆・音「あー!!」
音は教会で琴の演奏を披露する予定だったのです
駆け込んだその時でした。
そこに居たのは世界的なオペラ歌手・双浦 環でした。
それは生涯忘れることのない瞬間でした。