古山家
玄関
大倉「ごめんください。 あっ すいません。 お約束より 少し早く着いてしまって。」
裕一「いえいえ お待ちしてました。 どうぞ。」
大倉「あっ すいません…。」
裕一の仕事場
大倉「佐藤久志ですか…。」
裕一「僕が推薦するなら彼しかいません。」
大倉「う~ん… 上司が何と言うか…。」
裕一「ありがとう。」
大倉「実を言うと 上司は 古山先生の起用を反対していたんです。 戦時歌謡の作り手が 野球大会の歌に関わるのは どうなのかと。」
裕一「はあ…。」
回想
大倉「ですが 私が どうしてもと頼んで 通してもらいました。 佐藤久志も 戦時歌謡の印象が強い人ですし…。 正直 私としては 先生を擁立するだけで 精いっぱいでして…。 ほかにも 優れた歌唱力の方は たくさんいます。 別の方で 心当たりはないですか?」
裕一「すいません。 それでも僕は 佐藤久志を推薦したいです。」
大倉「あ~… ですが…。」
裕一「彼が もし… 彼が もし 戦時歌謡の歌い手としか 捉えられていないのならば なおさらです。」
裕一「彼は 皆さんが思う以上に いろんな引き出しを持った歌い手です。 大倉さん どうか お願いします。 どうか… どうか お願いします!」
大倉「いや… 先生 ちょっと あの…。」