夜
深沢「出来てるね。」
郁子「…はい。」
居間
深沢「水木プロ発足 おめでとうございます。 これ 皆さんで。」
布美枝「ああ すいません。」
茂「お陰で なんとか形になりました。」
深沢「よかった。」
郁子「これ 先生のお好きな甘いもの。」
茂「ああ どうも。」
布美枝「あ 何もないですけど どうぞ ゆっくりしてって下さい。」
深沢「ありがとう。」
浦木「おう 郁子さん! 郁子さんじゃないですか!」
郁子「あら。」
浦木「おいおい! 郁子さ~ん!」
郁子「いらしてたんですか。」
浦木「そりゃあ もう 郁子さんに 会いたいばっかりに…。 いや 親友の門出を祝いたい一心で…。」
郁子「あ 豊川さん 船山さん!」
船山「いや~ どうも 加納さんでしたよね。」
郁子「覚えていて下さったんですか。」
船山「美人の名前は 忘れませんよ! ハハハハ!」
郁子「まあ!」
浦木「口のうまい奴だぜ~! あ~ どいた!」
深沢「倉田君 どう? 元気でやってる?」
倉田「お陰さんで ええ勉強させてもろてます。」
深沢「ああ それはよかった。 まあ 一杯どう?」
倉田「おおきに。」
深沢「小峰君 あんたの漫画 よく見てたよ。 一杯どう?」
小峰「ありがとうございます。」
深沢「菅井君。」
菅井「あ…。」
(ドアを叩く音)
菅井「奥さん また誰か来ましたよ。」
布美枝「あら は~い!」
玄関
布美枝「あ~っ 戌井さん!」
戌井「お邪魔します。」
布美枝「お待ちしておりました。 ちょっと お待ち下さい。 お父ちゃん。 戌井さんが!」
茂「お~ やっと現れたか~!」
戌井「これ お祝いです。」
布美枝「うわ バナナ!」
戌井「おいしいバナナを たくさん食べて下さい。」
布美枝「ありがとうございます!」
戌井「今日は どうも ほんとに おめでとうございます! 水木さん!」
編集者1「奥さん ちょっと すいません。」
布美枝「は~い。 あ さあ どうぞ中に。」
戌井「はい。」
布美枝「どうぞ。」
戌井「今日は 久々に 水木さんと じっくり話したくて来ました。」
茂「しばらく バタバタ しとりましたからなあ…。 こっちも あんたが早く現れんかと 待っとったんですよ。」
戌井「いや~ なかなか 仕事が片づかなくて。」
編集者2「先生 話の途中ですよ。」
茂「ああ はい。 まあ とにかく上がって下さい。 あんたの好きな酒も あります。」
戌井「ああ はい。」
茂「あ~ 引っ張るな 引っ張るな!」