連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第108話「悪魔くん復活」

玄関

(カラスの鳴き声)

いずみ「あの…。 ありがとうございました。」

倉田「いえ…。」

いずみ「私 偉そうな事 言って 自分は 不注意で 藍子に やけどさせてしまって…。」

倉田「『すぐに 水かけて 冷やしたんが よかった』って 医者も 言うてはりましたし あんまり気にせん方がええですよ。」

(戸の開閉音)

<年が明けて しばらくして>

昭和四十二年一月

仕事部屋

茂「そろそろだな…。」

(クラクション)

(クラクション)

菅井「あれ? どこの車だ?」

小峰「ここのだよ。」

菅井「え?」

倉田「昨日 届いたんや。 知らんかったんか?」

菅井「うん。」

玄関

布美枝「ただいま~。 ただいま戻りました。」

茂「ああ。 ご苦労さん。」

客間

藍子「かわいいねえ。 赤ちゃん かわいいねえ。」

布美枝「ほら お姉ちゃんだよ。」

いずみ「ほんとに すいませんでした。 私が ついとったのに…。 跡 残るかもしれん。」

布美枝「大丈夫。 これくらい すぐ分からんようになるわ。 もう気にせんで。 あんたのせいじゃない。 心配させて かえって 悪かったね。」

いずみ「姉ちゃん…。」

藍子「いずみちゃん どうしたの? お腹 痛いの?」

いずみ「ううん。 藍子ちゃん おてて 痛いの 我慢した ご褒美に ドライブ 連れてってあげようか?」

藍子「ドライブ?」

いずみ「うん!」

布美枝「けど… びっくりしたわ。 いきなり 車で 迎えに来て。 『うちの車だ』って言うんだもん。」

いずみ「届いたばっかりだもの。 それに 『黙っちょけ』って言われとったの。 『びっくりさせろ』って!」

布美枝「もうっ。」

いずみ「倉田さんも 免許 持っとってね。 茂兄さん 早速 倉田さんの運転で 神田の古本街に 漫画の資料 買いに行っとったよ。」

布美枝「そう。 車があるのは便利でええね。」

いずみ「だけん 早い事 買ったらって 言ったのに。」

布美枝「けど なして 急に 買う気になったんだろうねえ…。」

いずみ「藍子の やけどのせいかな…。」

布美枝「え?」

いずみ「病院に行く時ね タクシー呼ぼうとしたんだけど 『走った方が早い』って 茂兄さんと倉田さんで 藍子を病院に連れてったんだよ。 それから 急に 車の話 言いだして…。 『何かあった時に 車がなくて 間に合わんだったらいけん』って 思ったんじゃないかな。」

布美枝「うん…。」

いずみ「ほんとはね… 私 ちょっこし 茂兄さんに 腹を立てとったの。 仕事ばっかりで 姉ちゃんや藍子の事 大事にしとらんのじゃないかって。」

布美枝「いずみ…。」

いずみ「けど そげな事ないね。 茂兄さん 姉ちゃんや 藍子の事 ちゃんと守っとるんだわ。」

布美枝「うん。」

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