純喫茶・再会
菅井「先生も大変だよね。 漫画の仕事だけでも忙しいのに 作詞なんか頼まれて。」
倉田「う~ん せやな。」
菅井「いくら先生でも そうそう 簡単に 詞は作れないよね?」
倉田「う~ん せやな。」
菅井「…あのさ。」
倉田「あ…?」
菅井「北村さんの事 どう思う?」
倉田「どう どう? ん? どうって 別に 何?」
菅井「あの人 いずみさんの事 狙ってると思うんだよね。」
倉田「え?」
菅井「よく藍子ちゃんに お土産 持ってくるでしょ。 あれ いずみさんの 気を引く作戦だよ。」
倉田「い いや せやろか…?」
菅井「向こうは いい大学 出てるし 出版社の社員って 稼ぎも いいからな。 こっちは しがないアシスタントで 比べられたら 勝ち目ないよ。」
倉田「ん? 勝ち目って何のや?」
菅井「実はさ…。 僕 前から いずみさんの事…。」
倉田「えっ!」
菅井「一目ぼれなんだよ。 去年の夏 いずみさんが来た日から。」
倉田「あ… 知らんかった。」
菅井「いずみさん 短大 出てるし お父さん 市議会議員 やってるらしいし。 僕なんか 不釣り合いかもしれない。 でも 北村さんだけには 負けたくないんだ。 ねえ どうしたら いいと思う? クラさん?」
倉田「どうもこうも あらへんわ! 学歴もない 金もない。 漫画 描いてても 一丁前の漫画家やない。 どっこも ええとこ ないやんか!」
菅井「そこまで言わなくたって…。」
倉田「俺はな 俺やったらな まず 新人賞 取って 漫画家として デビューするわ! …で バリバリ稼いでやるの。 そっからが勝負や! あ~う~ 俺 何 言うてんやろ。」
倉田「帰る。 こんな事してる暇ない。 どうどん 漫画 描いて 新人賞 応募せにゃ。 ごちそうさん!」
水木家
客間
布美枝「急な下り坂での 追い越しは 禁止と…。 いずみ 本当に大丈夫かなあ。」
回想
いずみ「モテて悪い気は せんね。」
回想終了
布美枝「あ いけん。 勉強 勉強…。 落ちたら お金が もったいない。」
<若い いずみの活発さが ちょっと心配になってきた 布美枝でした>