連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第120話「妖怪いそがし」

藍子「だって…。」

茂「ええけん 言ってみろ。」

藍子「クラスの子に言われるもん。 妖怪なんていないのに お父ちゃんは 漫画で 嘘 描いてるって。 お父ちゃん 妖怪 見た事あるの?」

茂「う~ん ないなあ… お父ちゃんも はっきりと見た事はない。」

藍子「なんだ…。」

茂「けど 気配を感じた事は 何べんも あるぞ。」

藍子「気配って?」

茂「戦争中に ジャングルの中を 逃げておった時にな 途中で どげしても 前に進めなくなった事があるんだ。 壁のようなもんが 行く手を阻んで 押しても びくともせん。 後で調べたら 『塗り壁』という 日本にもおる妖怪だった。」

藍子「本当に?」

茂「ああ。 『天狗倒し』を知っとるか?」

藍子「知らない。」

茂「山の中で ドス~ン バリバリ~ッと 木が倒れる 大きな音がするんだ。 ところが 見に行ってみても 何も倒れとらん。 どうも 『天狗』の仕業らしいんだなあ。 お父ちゃんなあ ジャングルの中で それと 全く同じ体験をしたよ。 向こうにも 『天狗』の仲間がおるんだなあ。」

茂「昔の人は いろんな妖怪の気配を感じて それを 言い伝えに残してくれとる。 お父ちゃんは みんなが分かりやすいように それを 漫画や絵に描いとるんだ。 目に見えるものしか信じない というのは お父ちゃんは 間違っとると思うな。」

布美枝「見えんけど おるんですね?」

茂「ああ。 お化けも 妖怪も 見えんけど おる。 人間は そういう不思議な者達に 囲まれた中で 生きとるんだぞ。」

(大きな物音)

茂「ほれ 『天狗倒し』だ!」

2人「きゃ~っ!」

茂「そげに怖がらんでも 悪さは せんよ。」

布美枝「もう お父ちゃん こげな暗い中で 妖怪の話 せんで下さい。」

藍子「夜中に トイレに行けなくなるよ~。」

茂「それみろ! 怖がっとるのは 妖怪や お化けを信じとる証拠だ。」

藍子「あ…。」

(一同の笑い声)

布美枝「あ~ びっくりしたね~。」

茂「大丈夫だぞ もう…。」

布美枝「さあ 食べましょうか?」

茂「ああ 食べよう 食べよう。」

<久しぶりに 家族の明るい笑顔が 戻ってきました>

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