連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第128話「おかあちゃんの家出」

台所

喜子「お父ちゃん また 新聞 読みながら食べとるよ。」

藍子「し~っ お仕事 忙しい時は しかたないんだよ。」

喜子「つまんないの!」

茂「おい… お茶。」

布美枝「はい。 今夜も 遅いんですか?」

茂「ああ。」

布美枝「夜食に 芋ぜんざいでも 作りましょうか?」

茂「ああ。」

布美枝「疲れとるようだけど 体 大丈夫なの?」

茂「うん…。」

布美枝「できる事があったら 何でも 言って下さいね。 会社も大変かもしれんけど 大切なのは 会社よりも お父ちゃんの体ですけん。」

茂「また いらん事を…。」

布美枝「え?」

茂「仕事のことに 口出すな。 お前は黙って 家の事したらええ。 仕事 行ってくる。 今度の日曜 久しぶりに富士山 行くぞ。」

藍子「え? 日曜は智美ちゃんと約束…。」

茂「みんなで行く。 ええな。 おい。 おい 返事ぐらいせい!」

布美枝「私… 行かない。」

茂「え?」

布美枝「私 行きませんから。」

茂「何を言っとるんだ? ええけん 俺の言うとおりにせえ!」

布美枝「『いらん事 言うな 口出すな』。 お父ちゃん 近頃 いつも そればっかり! 私にだって 気持ちは あるんです! 何 言っても… お父ちゃんの耳には 届かんのですけん。」

藍子「お父ちゃん…。」

茂「ええけん ほっとけ!」

喜子「(泣き声) お母ちゃん! お母ちゃん!」

玄関

喜子「お母ちゃんが いなくなっちゃった…。 (泣き声)」

藍子「よっちゃん。」

喜子「(泣き声)」

菅井「どうかしたんですか?」

茂「何でもない。」

菅井「先生 お願いします。 そろそろ 時間が。」

茂「ああ。」

喜子「(泣き声)」

深大寺

(虫の鳴き声)

布美枝「飛び出してきてしまった。 あっ ここ 昔…。 美智子さん 捜しに来たとこだ…。」

回想

政志「どこ行くんだ! 帰ろう。」

回想終了

布美枝「お父ちゃん? 来るはずないか…。」

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