連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第131話「おかあちゃんの家出」

客間

布美枝「ご飯は どうしとった?」

藍子「おばあちゃんが作ってくれた。」

喜子「今日は おじいちゃんが作った。」

布美枝「そう!」

茂「おう 戻ったか。」

布美枝「ただいま 戻りました。」

茂「大丈夫か?」

布美枝「はい。」

茂「急な事で 向こうも大変だったろ。」

布美枝「ええ。」

茂「別れは言えたのか?」

布美枝「間に合わんだった。」

茂「残念だったな。」

布美枝「はい。」

茂「今 編集の人が来とるけん…。」

布美枝「私は 大丈夫ですけん 仕事しとって下さい。」

茂「ゆっくり 休めよ。」

布美枝「はい。」

藍子「お父ちゃん 心配してたんだよ。」

布美枝「え?」

藍子「『お母ちゃん  大丈夫かなあ』って。 『一緒に行ってやれんだったな』って言ってた。 「それからね 『お母ちゃんがおらんと 家の中が暗いな』って言ってたよ。」

布美枝「そう。 お父ちゃん そんな事 言っとったんだ。」

喜子「言ってた。」

両親の部屋

布美枝「留守中は お世話をおかけしまして。」

修平「お父さんやち どげしとった? 気落ちしとられただないかや?」

布美枝「急な事でしたから。」

絹代「今 ミヤコさんに 手紙 書いちょったとこだわ。 余計な事かもしれんけど 何かせんではおられんけん。」

布美枝「お母さん…。」

絹代「戦時中 雄一も しげさんも 戦争にとられて 光男は動員で 広島に 行ったっきりで。 3人とも生き死にさえ 分からんだったでしょう。 息子やちがもどらんだったら…。 私も 生きておられんと思った。」

修一「子を送るほど つらい事はないな。 布美枝さん あんた 晩飯どげした? もう 食ったか?」

布美枝「いえ まだです。」

修平「これから作るのは 大儀だろう。 ほんなら 天ぷら揚げてやらか。」

布美枝「え?」

修平「あんたの分 タネは残してあるけん。」

絹代「今夜の ご飯は お父さんが 当番。 天ぷら作ったんだわ。」

修平「子供やちにも 好評だったぞ!」

布美枝「ほんなら 自分でやります。」

修平「おっと それから ごろうじろ! 秘伝の衣を使っとるけん まだ 作り方は教えられん。 ハハハ!」

絹代「あんたも疲れたでしょう。 今日は 任せときなさい。」

布美枝「はい。」

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