客間
源兵衛「しかし 思うようには いかんですなあ。」
茂「待ったですか?」
源兵衛「いや 子供の話だ。 親心で打った手が 裏目に出た。」
茂「ええ。」
源兵衛「ここに置くか…。」
茂「は~ん そげなら…。 これで。」
源兵衛「ああ?! それは ちょっこし待て。」
ミヤコ「お父さん。」
源兵衛「おう?」
ミヤコ「悪い手でしたねえ。」
源兵衛「何だ お前 碁が分かるのか?」
ミヤコ「分かりません。 けど 無理に押したら うまくいくもんも いきませんわ。」
台所
喜子「あれ お姉ちゃんの事だよね?」
布美枝「うん…。」
喜子「おばあちゃん いい事 言う。」
ミヤコ「ん?」
布美枝「驚いたわ。 あげに ピシッと。」
ミヤコ「私は 何も言っとらんよ。」
布美枝「ふ~ん。」
ミヤコ「う~ん?」
客間
源兵衛「確かに いい手とは 言えんだったわ。」
茂「うん。 戦術を練り直して… 形勢逆転を ねらいますかなあ。」
源兵衛「機が熟するのを待つのも… ええかもしれんの~。」
茂「あ! そこは 待った!」
源兵衛「待ったは なしだ!」
茂「いや~ しかし さっき…。」