<そして 半年後の4月>
昭和六十年四月
水木家
台所
藍子「え~と 今日は まず 算数からだから…。 朝の会で歌う歌 どうしようかな?」
布美枝「ご飯くらい 落ち着いて食べたら?」
藍子「そうもいかないよ。 授業の準備はあるし 毎日 やる事がいっぱい。 あ こうしてられない。 早く行って 授業のプリント作らなきゃ。」
布美枝「学校の仕事 楽しい?」
藍子「楽しい。 子供達も懐いてくれて みんな かわいいよ! ごちそうさま!」
布美枝「行ってらっしゃい!」
<藍子は 都内の小学校で 3年生のクラス担任になりました。 赴任先は 家から通える学校でした>
小学校
藍子「よし! 今日も1日 頑張ろう。」
水木家
<喜子は 短大の1年生です>
子供部屋
布美枝「喜子 ほら 起きなさい!」
喜子「う~ん カステラ食べたらね。」
布美枝「何 寝言 言っとるの!」
喜子「うん 何だ 夢か…。」
布美枝「ほら 起きる! はい!」
台所
布美枝「あら… まだ食べとる。」
藍子「う~ん 2限目 休もうかな。 経済学とか 何で やんなきゃいけないんだろ?」
布美枝「また そんな事 言って~!」
喜子「お姉ちゃん 朝から ガサゴソうるさいから 一遍 目が覚めて 二度寝しちゃったよ。」
布美枝「早めに学校へ行って 授業の準備するんだって。」
喜子「よくやるなあ。 毎日 残業して 遅く帰ってきて 夜中まで仕事してるのに。」
布美枝「学校楽しいし 子供かわいいし そげな時は 少しくらい大変でも 頑張れるんだわ。」
喜子「う~ん でも… 張り切りすぎると 伸びきったゴムみたいに なっちゃうよ。」
布美枝「喜子 あんたは もうちょっこし 頑張らんといけんのじゃないの?」
喜子「う~ん 何に向けて頑張るか。 それが問題だ。」