飯田家
玄関
邦子「食べとかんと 途中で お腹 減るよ。」
布美枝「だんだん。」
邦子「お茶 入れてくるけん。」
布美枝「水で ええよ。」
源兵衛「ああ~ お前 まだ そげなとこで。 早せんと ハイヤーが迎えに来るぞ。」
貴司「姉ちゃん おめでとう。 式には行けんけど しっかりな。」
いずみ「おめでとう。」
邦子「フミちゃん お水。」
源兵衛「立って食べる奴がおるか! 行儀が悪い。 あっ ミヤコは どげした。 ミヤコ~!」
ミヤコ「はい はい。 今…。」
源兵衛「お前 何しちょ~! 早う 美容院で着付けせんと。 花嫁が遅れたら みっともねがな!」
ミヤコ「はい。 あっ いけん 草履。 草履 忘れた。」
源兵衛「あ~。」
(一同のため息)
布美枝「あの~。」
(車のクラクション)
源兵衛「あ ハイヤー来た。 わしと哲也は おっつけ 行くけん。」
ミヤコ「ほんなら 先に行ってますけん。」
貴司「ああ… きれいにしてもらえよ。」
いずみ「お姉ちゃん おがらんでね!」
布美枝「いってきます!」
ミヤコ「早う!」
<婚礼の朝は 慌ただしいものでした>
美容院
美容師「まあ ほんとに きれいな花嫁さん。」
ミヤコ「はあ。」
美容師「こげん 高島田の似合う お嫁さんは めったに おらんですけんね。 はい。 出来ました… あら?」
ミヤコ「あら ちっと 丈が 足らんのではないでしょうか?」
美容師「そげですね 少~し 短いかもしれんですね。 衣装屋さんに 丈の長いのないか 聞いてみて。」
助手「一番 大きいの 借りたんですがね…。」
美容師「ほんなら 羽織り方で 調整してみましょうかね。」
<いよいよ始まる結婚式。 何やら 波乱の気配も 漂っています。 布美枝 落ち着いて 頑張ってな!>