ミヤコ「あ~! 持っちょいましたね。 ラジオ体操でもらったと言って。」
輝子「それを 何で うちまで 持ってきたんかね?」
ユキエ「あ 分かった。 叔母さんに 褒めてもらいに 行ったんだが。」
暁子「そげだわ。 皆勤賞もらっても うちでは 誰も褒めてやらんけん。」
源兵衛「なして ちゃんと 話 聞いてやらん?」
ミヤコ「あの子 忙しい時に限って モショモショ言うもんですけん。」
源兵衛「この だらす! 母親のくせに 気ぃつけ~だぞ!」
ミヤコ「すいません。」
輝子「けど なして戻ってこんかいね?」
源兵衛「道に 迷ったかいな?」
ユキエ「もしかして 家出したと違うかね?」
一同「え?」
源兵衛「だらず言うな! 大体 お前やちゃ 何で布美枝が おらん事に 今まで気が付かん?」
ユキエ「自分だって。」
2人「ねえ。」
源兵衛「わし ちょっと 駐在へ行ってくる。」
ミヤコ「消防団に 捜索 頼んだ方がええですかね?」
源兵衛「ああ そげだな。 よし お前は 消防に走れ!」
ミヤコ「はい。」
登志「まあ 待つだわ! そげに騒がんでも もう戻るわね。 行きは 1人で行ったんだけん。」
源兵衛「いや あれは ぼや~っとした子 だけん 安心は できんが。」
登志「輝子さん あんた ここまで どげして来たの?」
輝子「バスに 乗って。」
登志「ああ そげなら 途中で 追い越してしまったんだわね。」
ミヤコ「ああ そげですね 子供の足ですけんね。」
源兵衛「何を ぐちゃぐちゃ言っちょ~! わし あの 駐在 行って…。 お前やちも ぼやっとしとらんで 早(はや)う 外を捜せ!」
源兵衛「布美枝!」
哲也「布美枝!」
源兵衛「布美枝」
暁子「フミちゃ~ん。」
哲也「あれ? 布美枝でねか。」
源兵衛「布美枝 お前 何しちょ~だ?」
布美枝「お父さん。」
輝子「布美枝!」
布美枝「叔母ちゃん 何で うちにおるの?」
輝子「よかった~!」
ミヤコ「あんた どこに おったの?」
布美枝「港に 行っちょっ…。」
源兵衛「だら! 1人で 何しちょっただ!」
登志「港に 何しに行ったかね?」
布美枝「叔母ちゃん 風邪 ひいちょったでしょ?」
輝子「ああ この間 うち ひいちょったよ。」
布美枝「魚屋のおっちゃんから そげ聞いたけん。」
登志「そな お見舞いに行ったかね?」
布美枝「うん。 キャラメル 食べたら 叔母ちゃん 元気になるかなと思って。」
輝子「布美枝…。」
源兵衛「そげでも 1人で行く奴 おるか!」
ミヤコ「着物 汚れちょ~ね! 転んだがや? 中入って 着替えよ。 黙って 遠くに行ったら いけんよ。 みんな がいに 心配しちょったんだけん。」
布美枝「ごめんなさい。」
ミヤコ「うん。」
ユキエ「ほんとは 輝子叔母ちゃんが 來るまで フミちゃんがおらん事に 誰も 気づいちょらんだったんだよ!」
源兵衛「つまらん事 言うだね!」