連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第39話「消えた紙芝居」

布美枝「音松さんの名調子 さすがでしたね! 聞きほれてしまいました。」

茂「腕は ちっとも 衰えておらん! 何にしても 元気そうで よかったよ。 4年前 俺が こっちに出てきた頃は 紙芝居は もう 商売にならなくなっていて…。」

布美枝「ええ。」

茂「俺も 食えなかったが 音松さんは 借金が かさんでな。 それから 居所が分からなくなった と聞いとったんだが…。」

布美枝「そげだったんですか…。」

茂「うん。 恐ろしいもんだぞ。 一つの商売が ダメになるというのは。 船と同じだ! 沈みだしたら あっという間で 逃げ遅れたら もろともに 沈むしかない。」

布美枝「けど… 紙芝居 昔は あげに 人気があったのに なしてでしょうか?」

茂「時代の流れだ どうにもならんよ。 紙芝居が回ってくる夕方に 子供は 野球だ 相撲で テレビに釘づけだ。 昨日 10人いた子供が 今日は 8人になり 明日 また 2人減る…。 でも まあ 『再起を図る』と 言っとったから 何か 見通しが立ったんだろう。」

布美枝「…よかったですね。」

茂「ええ人なんだよ… 紙芝居への 情熱は 誰にも負けんし 人の面倒も よう見てくれる 俺も 随分 世話になった。 昔の事 考えたら ちょっこしでも 力にならんと いけんな!」

布美枝「はい。」

(置き時計の時報)

布美枝「あら もう こげな時間…。 今夜 どちらに行かれるんでしょうか?」

(音松のいびき)

茂「いや 起こさんで ええぞ。 よう 眠っとるけん。 今夜は このまま うちに泊まってもらったら ええ。」

布美枝「そげですね。」

その夜

布美枝「お酒も買っちゃったし 思わん出費だなあ…。 は~っ! 木の葉… お金に変わらんかなあ。 ふ~っ!」

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