連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第42話「消えた紙芝居」

水木家

居間

布美枝「えいやっ!」

茂「お… 狐の小判が出たか。」

(笑い声)

2階

茂「汽車賃くらいしか 入っとらんのですが…。」

音松「あんたからは… 借りられん。」

茂「道具は売らんで下さい。 女房が言ってました。 『その道具は 音松さんと 何十年も連れ添ってる。 音松親方の事は 何でも知っとるんだ』って。 『音松の名調子』。 目を輝かせて 見とった 子供らの顔。 毎日毎日 途切れる事なく 描き続けた 紙芝居の物語… 世間が忘れてしまっても… その道具は 全部覚えてるんです! 手放せるはずが… ないですよ。」

<その夜 音松親方は 九州へと 旅立っていきました>

居間

布美枝「音松さん これからも ずっと 紙芝居を続けるんでしょうか?」

茂「うん。 …紙芝居一筋で 生きてきた人だけんな。」

布美枝「そこまで打ち込めるなんて すごいですね!」

茂「ああ そげだな。 立派な人生だ! しかし… 滅ぶというのは 恐ろしいもんだ。」

布美枝「え?」

茂「あ… いや。 仕事する。」

布美枝「私も… 家計の工夫せんといけんな。」

田中家

美智子「肉は なんと言っても ひき肉ね。 ロールキャベツ 野菜いため 丸めて 団子にしてもいいし。 はい! 太一君 おかわり。」

太一「頂きます。」

キヨ「どうしたんだよ。 急に 料理習いに来るなんてさ。」

布美枝「家計のためには 食費を抑える事が肝心ですけん。」

キヨ「そりゃそうだ。」

布美枝「食堂をやっとられたと 聞きました 料理の事なら ここで伺うのが 一番だと思って。」

美智子「漫画家も大変ね。 勤め人と違って 浮き沈みがあるもんね。」

キヨ「うちだって 小商いで カツカツじゃないか。 よそ様の事 心配できる身分かね?」

美智子「もうっ!」

(3人の笑い声)

美智子「太一君 何だか 緊張してんじゃない?」

太一「あ いや。」

美智子「旦那さんが 水木しげるだって 分かって 興奮してたのよ。」

キヨ「今度 会ったらさ いろいろ聞いてみるって 言ってたじゃないか。」

太一「ちょっ…。」

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