連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第45話「父の上京」

玄関前

源兵衛「もう少し まとな暮らしを しとると思うとったが…。(ため息)」

仕事部屋

茂「ええ出来だろう!」

布美枝「そげですね。」

茂「この厚みが ええ。 他の貸本は 1冊 124ぺージだが これは 176ページもある。」

布美枝「はい。」

茂「造本も しっかり しちょ~ぞ。 紙も 富田書房のより 上等だ!」

布美枝「ほんとですね…。」

茂「は~っ。 せっかく 新刊をもらってきたのに ちっとも喜ばんのだな!」

布美枝「喜んどりますよ! こみち書房にも 宣伝のビラ たくさん貼っとりましたし…。」

茂「ほう そげか。」

布美枝「けど… 私 父の事が気になって…。」

茂「うん。 土曜日の再上陸に向けて 万全の備えを せねばならんな!」

布美枝「ちょっこし家を空けた間に 中森さんにも お兄さんにも 鉢合わせするなんて ほんとに間が悪い! チヨちゃんに 見え張った 罰かもしれん…。」

茂「ん?」

布美枝「いえ…。 お父さんも 電報の1本でも 打ってくれれば ええのに 奇襲攻撃なんて 卑怯だわ!」

茂「まあ ええだろう。 初めのうちに みっともないとこ見られたら これ以上 印象悪くは ならんけん。」

布美枝「けど…。」

茂「それよりも 見逃したのが 惜しかったな!」

布美枝「え? 何をですか?」

茂「おやじさんが 中森さんを 締め上げるとこだよ。 漫画を描く ネタになったのになあ。」

布美枝「そげに のんきな事 言って!」

茂「まあ 新刊も出たことだし 少しは ええ話も できるだろう。 いつまでも 体裁繕ったままでは おられんわ。」

布美枝「えっ 私 体裁を繕っとった訳では ないですよ! 心配かけたらいけんと 思っとっただけです。」

茂「ああ 分かった 分かった! とにかく もう ありのままを 見せれば ええんだけん。」

布美枝「だったら 境港のご両親にも 本当のところを話して下さいね!」

茂「え?!」

布美枝「お母さんに手紙書く時 あなた いつも言うじゃないですか。 『余計な事は 書くな! 心配させたらいけん!』って。」

茂「それはだな… 悪い事 書くと 慌てて イカルが飛んでくるからだ。 イカルは 強烈だぞ。 『漫画で貧乏するぐらいなら 田舎に戻って 灯台守になれ』と 言いだしかねん。 灯台守の苦労を考えてみろ。 あれは 大変な仕事だぞ! だけん… うちの方には 黙っとれ。 ええな!」

布美枝「けど 贈り物までせんでも ええじゃないですか!」

茂「ん?!」

布美枝「キャンデーなんて よっぽど もうかっとるみたいに…。」

茂「たかが キャンデーで 何言っちょる。」

布美枝「たかがですか?! あげな高級品 うちでは 買った事ないですよ!」

茂「うるさい! みみっちい事 言うな!」

<つい 勢いで 布美枝は 言わなくてもいい事まで 言ってしまいました>

飯田家

ミヤコ「そげかね。 うん 分かったわ。」

貴司「電話は アキ姉ちゃんからか?」

ミヤコ「うん。 お父さん 今日 布美枝の所に行ったらしいわ。」

貴司「出張 第1日目にか。 ハッハハ! せっかちだなあ おやじも。 ハハ…。」

ミヤコ「様子見に行ったら 行ったで 電話くらい くれても ええのに。(ため息)」

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