盆踊り
やぐらの人「そら!」
(太鼓の音)
♬~(盆踊り歌)
ユキエ「ええよ。」
♬~(盆踊り歌)
源兵衛「ユキエの奴 ちゃんと 踊っとるな。」
飯田家
チヨ子「フミちゃん 踊らんのかなあ…。」
登志「チヨちゃん。」
チヨ子「こんばんは。」
登志「あ こんばんは。 布美枝! チヨちゃん 迎えに来とるよ!」
布美枝「は~い!」
チヨ子「わ~! フミちゃん どげしたの?」
盆踊り
ヒロシ「あれ 誰だ?」
チヨ子「1等 取ろうな!」
布美枝「うん!」
♬~(盆踊り歌)
源兵衛「お~ 布美枝も よう踊っとるわ。」
ヒロシ「あれ 電信柱でねえか!」
ヒロシ達「♬『電信柱に花が咲く』(笑い声)」
ヒロシ「電信柱が 花つけて 突っ立っとるぞ~! ハハハハッ!(笑い声)」
源兵衛「悪ガキどもが 何しちょる。」
チヨ子「踊りの邪魔 せんでよ!」
ヒロシ「フンッ!」
布美枝「『のっぽでも くよくよせんで いられますように』。」
チヨ子「フミちゃん?」
ヒロシ「電信柱が 花つけて おかしいわ!」
布美枝「おかしくても ええの。」
ヒロシ「ああ? 何か 言うたか?」
布美枝「楽しく踊ったら それで ええんだけん! ♬『大塚 良いとこ 一度は おいで コラセ』」
ヒロシ「何だよ! お前なんか 電信柱…。 あれ 何だ? う~ わ~…。」
源兵衛「布美枝の奴 やるでねえか。」
登志「今夜は ご先祖様が ついとるでなあ。」
源兵衛「布美枝! ええぞ~!」
布美枝「えっ お父さん?! あっ… えっ!」
登志 源兵衛「あ~!」
<結局 1等は 取れませんでした。 けれど ご先祖様は ちゃんと 布美枝を 見守っていて くれたようです>
<送り盆の夜は 伯太川(はくたがわ)に精霊船(しょうろうぶね)を流します>
川
登志「ご先祖様の魂は 船に乗って 川を下っていくんだよ。」
布美枝「どこに行くの?」
登志「仏様のござっしゃる 十万億土だ。 遠いとこ あ~がとございました。 気をつけて お帰り下さい。」
貴司「おばば。」
登志「ん?」
貴司「誰に言うとるのだ?」
登志「ご先祖様にだがね。」
貴司「だ~れも 見えんけどなあ。」
登志「見えんでも おる。 お盆の間は ず~っと そばに おってくれたんだけんねえ。」
貴司「ふ~ん。」
布美枝「あ~がとうございました。」