昭和18年
(戦闘機の音)
<翌年の昭和18年 戦局は急激に悪化>
<若者達は次々と戦場に送り出され…>
茂「お国のために 頑張ってきます。」
<穏やかだった 大塚の町も 戦争の影に覆われていきました。>
飯田家
<食料が乏しくなった この頃 我が家では ミツバチを飼い始めていました>
(蜂の羽音)
ミヤコ「痛い!」
源兵衛「どげした? 刺されてたか。」
ミヤコ「はい。」
源兵衛「ヨモギの葉で もんどきゃ治る。」
ミヤコ「はい…。」
(小鳥のさえずり)
源兵衛「貸してみい 布美枝。 まだまだ役には立たんのう。 はい。」
<これは 9年ぶりに 生まれた 布美枝の妹です。 長女の暁子は 近隣の商家に嫁ぎ 長男の哲也は 師範学校の寮に入りました>
布美枝「うわ~ ぼた餅だあ!」
源兵衛「こら待て! ユキエ!」
ユキエ「学校 遅れるけん 後にして!」
登志「はあ また始まった…。」
<女学校を卒業したユキエは 父の勧めで教員をしていました>
ユキエ「『お見合いは断って下さい』って 言っとるでしょ!」
源兵衛「だらずが! 女が嫁に行かんで どげする気だ! ええから 見合いしぇ!」
ユキエ「『女学校 出たら 教員になれ』と 言ったの お父さんだが!」
源兵衛「そげだ! この ご時世 学校の先生が一番だ!」
ユキエ「だけん 先生やって生きていきます。」
(戸の開閉音)